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Am J Hypertens誌から
減塩は本当に心血管疾患を予防するのか?
最新データを用い7RCTを統合したメタ解析でも、検出力不足

2011/07/22
西村 多寿子=東京大学

 減塩で死亡や心血管リスクは減少するか否か――。この論争に終止符を打つことはできるのだろうか。

 食事からの高い塩分摂取は心血管疾患の危険因子とされ、多くの先進国では、食塩摂取を約半分に減らすことが推奨されている。13件の前向き研究を組み入れたメタ解析では、高い塩分摂取と脳卒中リスクの間に関連が示された。だが推定ナトリウム摂取量や参加者の特性、エンドポイントの違いなどが結果の解釈を複雑にしている。

 塩分摂取と血圧の関係を調べたランダム化比較試験(RCT)のメタ解析は数多く行われており、減塩による血圧低下が報告されているが、長期的な降圧幅は大きくない。また減塩と死亡や心血管イベントの関連を調べた11件のRCTを統合したメタ解析では、死亡を含むイベント数が極端に少なく、軽度から中等度のリスク減少を計算するには検出力不足だった。

 そこで英国エクセター大学を中心とする研究グループは、最新データを用いて減塩に関連した研究のシステマティック・レビューを行い、最終的に7件のRCTを組み入れたメタ解析を行った。7月6日、Am J Hypertens誌オンライン版に掲載された結果は、「死亡や心血管疾患の発症に対して、減塩は臨床的に重要な効果を持たないと結論するには、検出力がまだ不十分」というものだった。

 著者らは、検索語を「“salt” OR “sodium” OR (synonyms:類語)」および「“CVD” OR (synonyms)」とし、2008年10月までにCochrane、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、PsycINFO、HTA、DARE、CRDデータベースに掲載された研究を言語の制約を設けずに抽出した。Cochrane、MEDLINE、EMBASEではさらに検索を行い、2011年3月までデータを更新した。

 本研究への組み入れ基準は、(1)追跡期間6カ月以上のRCT、(2)対象者は18歳以上、(3)減塩の食事介入または減塩指導を含む、(4)対照として、プラセボの食事療法群あるいは介入なし群を設定、(5)評価項目は死亡(総死亡と心血管死)、心血管疾患(致死的・非致死的心筋梗塞、脳卒中、狭心症、心不全、末梢血管イベント、突然死、血行再建術)、心血管疾患に関連した入院――とした。

 死亡と心血管イベントについては、各試験の相対リスク(RR)と95%信頼区間(95%CI)を算出した。またχ2検定と I2統計を用いて試験間の異質性を評価した。χ2 P≦0.05かつI2≧50%であれば異質性は高いとしてランダム効果モデルを用い、それ以外は固定効果モデルを用いた。

 基準を満たした7件のRCTのうち3件は正常血圧(HPT、TOHP I、TOHP II、3518例)、2件は高血圧(Morganら、TONE、758例)、1件は正常血圧と高血圧患者を含んでいた(Changら、1981例)。正常血圧または高血圧の心不全患者を対象とした試験が1件あり(Paternaら、234例)、両群にフロセミド(250~500mg、1日2回)が投与されていた。

 これらの試験の追跡期間は6~71カ月だった。6試験では、減塩を目的とした専門家による食事・行動療法が実施され、介入群のナトリウム排泄目標は70~100mmoL/24h未満だった。Changらは対象者に食事を用意し、介入群の食事は塩化ナトリウム49%と塩化カリウム49%、対照群の食事は塩化ナトリウム99.6%を含んだ。
 

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