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Arch Intern Med誌から
中等度以上のHFpEFでは死亡リスクが上昇
EF正常の3万6000例あまりを登録したコホート研究結果

2011/07/08
難波 寛子=医師

 急性心筋梗塞後やアミロイドーシスなどの多くの状況下で、重度の心拡張機能障害(diastolic dysfunction:DD)と死亡率とは関連している。しかし、高血圧冠動脈疾患高齢肥満糖尿病など、DDに伴う状況の多くが死亡の危険因子であることから、収縮機能が保たれた状況でのDDが本当に独立した危険因子であるか否かは疑問だった。また、軽度DDは臨床的に有病率が高いが、予後に関するデータは少なかった。

 収縮機能正常のDDと死亡率の関連を調べる米国のコホート研究から、心エコー上の駆出率(EF)が正常の症例でも、中等度または重度DDの存在は独立した死亡の危険因子であることが明らかになった。一方、軽度DDは生存率には影響しなかった。この結果はArch Intern Med誌6月27日号に掲載された。

 本研究対象は、Cleveland Clinicおよび関連施設において、1996年1月1日から2005年12月31日までに外来で心エコー検査を受け、収縮機能が正常(EF 55%以上)だった症例。米国の社会保障番号(SSN)を有しない者、拡張機能が評価不能だった者、僧帽弁疾患または僧帽弁手術の既往があった者は除外した。2回以上の心エコー検査を受けた症例については、初回の検査のみを解析対象とした。

 期間中に心エコー検査を受けEFが55%以上だった6万5696症例中、2万9142例が拡張機能評価不能のため、2368例が僧帽弁疾患のため、925例がSSNなしのため除外され、最終的に3万6261例が解析対象となった。SSNなし以外の理由で除外された症例の生存率は、解析対象と差がなかった(log-rank P=0.20)。

 拡張機能の評価は心エコー上の所見を用いて、ガイドラインに従った施設の標準的手順で行った。これらの所見により、対象者の拡張機能の正常と異常を判断し、拡張機能障害を軽度(grade I)、中等度(grade II)、重度(grade III)に分類した。

 収縮機能はEFの半定量的測定により評価した。DDの分類に関する検者間の一致率は94.0%だった。

 臨床データは、心エコー前後6カ月間の電子カルテから得た。冠動脈疾患、末梢血管疾患、心房細動、糖尿病、高血圧、うっ血性心不全(CHF)、脂質異常症、慢性閉塞性肺疾患、慢性腎不全を含む診断名を記録した。死亡は、高い特異性で知られるSocial Security Death Indexから得た。
 

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