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Arch Intern Med誌から
CRTが有効なのはQRS幅150ms以上の心不全患者
QRS幅はNYHA分類より重要な指標となる可能性、5試験を統合したメタ解析

2011/06/22
西村 多寿子=東京大学

 QRS延長のある心不全患者における心臓再同期療法CRT)の有効性を検討するため、ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を行ったところ、CRTにより死亡や入院リスクが減少するのは、QRS幅が150ミリ秒(ms)以上の患者に限られた。この結果は6月13日、Arch Intern Med誌オンライン版に掲載された。

 CRTに関する従来のガイドラインは、NYHA分類III~IV度かつQRS幅120ms以上を対象としているが、治療に反応しない症例が半数近くに上る。米国心不全学会(HFSA)と欧州心臓病学会(ESC)は、MADIT-CRT試験の結果を受けて、新たなガイドラインとしてNYHA分類I~II度を加えたが、この患者集団のカットオフ値は150ms超である。

 CRTによる有害イベントとQRS幅との関係について、これまで系統的な分析は行われていなかった。そこで、米国Case Western Reserve大学の研究チームは、MEDLINE、SCOPUS、Cochraneデータベースを用いてCRTを扱ったRCTを検索し、メタ解析を行った。

 最初に、ベースラインのQRS幅と臨床アウトカムの報告のあるRCTを抽出した。除外基準は(1)ランダム化していない、(2)対照群として非CRT群を設定していない、(3)片群のみ植込み型除細動器(ICD)機能を有効としている、(4)クロス・オーバー試験、(5)死亡や入院の報告がない、(6)アウトカムとQRS幅を関連付けた報告がない──とした。

 QRS幅150ms未満を「中度延長(moderately prolonged)群」、QRS幅150ms以上を「重度延長(severely prolonged)群」とし、CRT後のイベント発生を比較した。

 統計学的異質性を検討するQ検定を行った。I2値が40%以下であれば固定効果モデルを用い、40%を超えた場合は、試験間の不一致度は高いとしてランダム効果モデルを用いた。

 文献検索で抽出した412件の試験のうち、メタ解析の対象となった試験は、COMPANION、CARE-HF、REVERSE、MADIT-CRT、RAFTの5件だった。これらの試験の全登録者数は5813例で、QRSの重度延長群は3624例(62.3%)、中度延長群は2189例(37.7%)だった。
 

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