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PLoS ONE誌から
ポリピルでCVDリスクが60%低下する可能性
SBPは約10mmHg低下、プラセボ対照二重盲検試験の結果から予測

2011/06/20
山川 里香=医学記者

 服薬コンプライアンス向上と薬剤コスト低減が期待されている「ポリピル」(アスピリン降圧薬脂質低下薬の合剤)について、心血管疾患CVD)リスクが高い集団を対象に短期プラセボ対照二重盲検試験を行ったところ、収縮期血圧(SBP)はプラセボに比べて平均9.9mmHg低下し、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)は平均0.8mmol/L減少した。CVDリスクは60%、脳卒中リスクは56%低下すると予測された。この結果はPLoS ONE誌5月25日号に掲載された。

 2002年のLancet誌の論説は、4成分の合剤により血管疾患患者のCVDリスクは約75%低下すると予測している。WaldとLawの試験では5成分の合剤によりCVDリスクが86%低下、脳卒中リスクが74%低下すると予測された。また、TIPS試験(5成分合剤)ではそれぞれ62%、48%低下すると推測され、Malekzadehらの試験(4成分)ではそれぞれ34%、21%低下すると予測されている。

 今回の試験は、プラセボと比較した場合のポリピルの短期の有効性と副作用を評価することを目的とした。

 2008年10月17日~2009年12月22日に被験者を募集し、7カ国で、合計378例(オーストラリア21例、ブラジル8例、インド109例、オランダ102例、ニュージーランド12例、英国113例、米国13例)を対象に、ランダム化プラセボ対照二重盲検試験を行った。

 採用基準は18歳以上、フラミンガムリスク機能(年齢、性別、血圧、総コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロール[HDL-C]、糖尿病、喫煙)で5年CVDリスクが7.5%以上と判定した人とした。

 ただし、フラミンガムリスク機能で推定5年リスクが5.0~7.5%未満と推定された人でも、追加的リスク因子(体重指数[BMI]:30kg/m2超、心拍数:80超、空腹時血糖値:5.6~7mmol/L未満、中性脂肪:1.7 mmol/L超など)が2項目以上に該当する場合は適格とした。

 他の抗血小板薬、降圧薬、脂質降下薬を服用している人、糖尿病患者、GFRが30mL/分/1.73m2以下の人は除外した。

 被験者を、ポリピル「Red Heart Pill」(アスピリン75mg、リシノプリル10mg、ヒドロクロロチアジド12.5mg、シンバスタチン20mgを含有)群またはプラセボ群に1対1の割合でランダムに割り付けた。導入期間は設けなかった。

 ランダム化後2週目、6週目、12週目に診察を行い、最後の12週目の診察の4週間後に試験後フォローアップ診察を行った。

 主要アウトカムは、SBPの変化、LDL-Cの変化、服用中止率とした。2次アウトカムは、コンプライアンス、拡張期血圧、総コレステロール、HDL-C、総コレステロール/HDL-C比、non-HDL-C、中性脂肪、CVDリスクに対する推定効果などとした。

 CVDリスクに対する推定効果は、大規模集団を対象に、各成分がSBPやLDL-Cなどのリスク因子に対して同程度の減少幅を示したシステマティックレビューのデータから見積もった。
 
 

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