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Lancet誌から
重症下肢虚血の遺伝子治療、第3相で有効性否定
NV1FGF筋注後の下肢切断と死亡までの時間はプラセボと変わらず

2011/06/07
難波 寛子=医師

 ヒト線維芽細胞増殖因子1(FGF1)の遺伝子をコードするDNAプラスミドであるNV1FGF(non-viral 1 fibroblast growth factor)の投与が、重症下肢虚血症例の下肢切断と死亡を遅らせるかどうかを第3相試験で検証したところ、プラセボ群との差は見られなかった。この結果は5月31日、Lancet誌オンライン版に掲載された。

 NV1FGFのヒト筋肉内投与によりFGF1が発現することに加え、動物実験では投与部位付近での血管新生が確認されている。また、重症下肢虚血症例を対象とした第1相試験では症状と患部の血行改善を認め、第2相のTALISMAN試験では下肢切断と死亡のリスク減少が見られたことから、NV1FGFは重症下肢虚血に対する有効な治療法として注目されていた。

 本試験(EFC6145/TAMALIS)の対象は、2007年12月1日~09年7月31日に30カ国171病院で登録された。登録条件は虚血性病変を有するFontain IV度の重症下肢虚血症例で、少なくとも1つの血行動態検査(足関節圧70mmHg未満、趾動脈圧50mmHg未満、経皮的酸素分圧30mmHg未満)と、少なくとも1つの画像検査(血管造影またはドップラー検査)で確認されている場合とした。また、血管外科医によって血行再建術の適応外と判断され、独立した判定委員会で判断が正当とされていることとした。

 被験者はNV1FGF投与群とプラセボ群に1対1で割り付けた。研究者、患者、スポンサーは割り付け結果を知らされなかった。

 両側下肢に血行再建不可能な病変を有する場合、上肢下肢血圧比の低い方の足を対象肢とした。治療は4回に分けて2週間ごとに行った。毎回、大腿4カ所と腓骨周囲4カ所にNV1FGF 0.5mgを筋注した。治療中は2週間、4週間、6週間の時点で、その後は3カ月、6カ月、9カ月、12カ月の時点で観察を行った。

 1次エンドポイントは、12カ月時点での対象肢の下肢切断(足根関節以上)または死亡に至るまでの時間の複合とした。2次エンドポイントは、それぞれ別に解析された12カ月時点での対象肢の下肢切断(足根関節以上)と総死亡とした。

 安全性の評価には、全ての有害事象と重大な有害事象、主観的な症状、バイタルサイン、安静時の12誘導心電図、眼科的検査、血液検査を含めた。

 880例が皮膚病変の安定性と悪性腫瘍の有無について2~8週間のスクリーニングを受けた結果、525例がランダム化された。対象の多くが65歳以上(69%)、男性(70%)、白人(92%)、喫煙歴あり(61%)だった。18%が体重指数(BMI)30以上の肥満だった。

 258例(49%)に対象肢で血行再建術の既往、115例(22%)に足根関節より末端での切断の既往があった。190例(36%)に対側の下肢血行再建術の既往があった。

 治療期間はプラセボ群で41日(範囲:1~49日)、NV1FGF群で40日(範囲:1~52日)だった。4回の治療を完遂した症例はプラセボ群の88%(228/259)、NV1FGF群の86%(228/266)だった。
 
 

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