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JAMA誌から
塩分摂取が少ないと逆に心血管死が増加
減塩推奨に一石投じる欧州の住民コホート研究の結果

2011/05/16
西村 多寿子=東京大学

 心血管疾患のない地域住民を対象に、24時間尿中ナトリウムNa)排泄量と血圧、心血管アウトカムの関係を調べたところ、Na排泄の増加と収縮期血圧の上昇は関連したが、心血管死のリスクは逆にNa排泄の少ない群で高かった。一般集団に減塩を推奨する各国の健康プログラムにも一石を投じる本研究の結果は、JAMA誌5月4日号に掲載された。

 一般集団の心血管イベントの減少には塩分摂取の制限が有効とされるが、それは観察研究や短期介入試験の結果から外挿されたものであって、長期縦断研究では確認されていない。こうした外挿は、一般集団における食塩摂取制限の実行性や無分別な摂取制限の有害性などを無視している。

 そこでベルギー・ルーベン大学の研究者らは、一般集団におけるベースラインの24時間尿中Na排泄量と総死亡、心血管死、高血圧の発生の関係を検討。加えて、血圧とNa排泄の関係を検討する横断的および縦断的研究を行った。

 本研究の対象は、ベルギーを中心に、チェコ、イタリア、ポーランド、ロシアの地域住民を対象とした2つのコホート研究(Flemish Study on Genes, Environment, and Health Outcomes[FLEMENGHO]とEuropean Project on Genes in Hypertension[EPOGH])の登録者のうち、心血管疾患がない成人男女とした(アウトカム・コホート)。

 アウトカム・コホートのうち、ベースライン時の24時間蓄尿データに不備がなく、正常血圧の集団を「高血圧コホート」とし、24時間尿中Na排泄量と高血圧の発生の関係を検討した。またベースラインと追跡期間終了時の24時間蓄尿のデータが揃っており、降圧治療を受けていない集団を「血圧コホート」とした。

 アウトカム・コホートは3681例。平均年齢は40.9歳、追跡期間の中央値は7.9年だった。死亡は219例(5.51/1000人・年)で、うち84例が心血管死だった。致死的・非致死的心血管合併症は232例(5.83/1000人・年)だった。
 

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