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Ann Intern Med誌から
非心臓手術症例でも5%に心筋梗塞が発生
多くが無症候、術後トロポニン値をモニターすべきと著者

2011/05/13
難波 寛子=医師

 非心臓手術症例を対象としたコホート研究から、術後30日以内の心筋梗塞MI)の発生率は5.0%であり、その多くが無症候性であることが明らかになった。この結果はAnn Intern Med誌4月19日号に掲載された。

 心臓以外の手術後に発生するMIは決して稀ではないものの、その詳細は不明だった。そこでカナダの研究者らが、周術期のβ遮断薬の有用性を評価するために実施したPOISE(PeriOperative ISchemic Evaluation)試験の参加者を対象にして、非心臓手術症例におけるMIの発生率や短期アウトカムを検討した。

 対象は、2002年10月~07年7月に23カ国190施設において、心臓系以外の手術と、24時間以上の入院が予定されている45歳以上の患者で、動脈硬化リスクを有する症例とした。

 術後6時間、12時間、1日、2日、30日の時点で、対象全例の心電図を記録した。また、術後6時間、12時間、1日、2日、3日の時点で心筋バイオマーカーのトロポニン値を測定した。トロポニンが測定不可能である場合、CK-MBを測定した。

 各施設は、MIを疑った場合、より頻回の心電図記録とバイオマーカーの測定を行うこととした。全入院期間またはランダム化後30日の時点まで経過観察した。全入院期間または30日時点の経過観察が可能だった症例は、8351例中8331例だった(99.8%)。

 ランダム化後30日までのMIを評価した。周術期MIの定義は、バイオマーカーまたはCK-MBの上昇(トロポニン値の典型的上昇、ピーク時に観察されたトロポニン値の典型的な下降、CK-MBの急峻な上昇と下降)に加えて、次の臨床的特徴のうち1項目以上が当てはまる場合とした。

(1)虚血による症状(胸部、心窩部、腕、手首、顎の不快感や息切れ)
(2)心電図上2つ以上の連続した誘導で見られる異常Q波、心電図上の虚血性変化(新規のST上昇または下降、2つ以上の連続した誘導でのT波陰転)
(3)冠動脈形成術(経皮的冠動脈インターベンションや冠動脈バイパス術)
(4)心臓の画像診断によるMIの兆候(エコー上新規の壁運動低下、シンチ上新規の集積欠損)

 また、病理解剖において急性MIが明らかになった場合もMIと定義した。

 ランダム化後30日以内にMIを発症した症例は415例(5.0%)だった。そのうち96.6%がバイオマーカーまたはCK-MBの上昇と臨床的特徴により診断された。病理解剖によりMIと診断された症例は3.4%だった。MIを発症した症例は、非発症例と比較して高齢で、心血管危険因子を多く有していた。
 

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