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J Am Coll Cardiol誌から
vWFは抗凝固療法中のAF患者の予後予測因子に
高値群では血栓・出血・総死亡のリスクが有意に高い

2011/04/28
岡本 絵理=メディカルライター

 血管内皮障害マーカーであるフォン・ウィルブランド因子von Willebrand factorvWF)は、抗凝固療法を受けている心房細動AF)患者における血栓イベントや出血イベントの独立した予測因子となることが、欧州の大規模コホート研究から分かった。この結果は4月13日、J Am Coll Cardiol誌オンライン版に掲載された。

 抗凝固療法を実施していないAF患者では、vWFは脳卒中および血管イベントに関連していることが分かっていたが、抗凝固療法を実施しているAF患者のデータは少なかった。そこでスペイン・Murcia大学の研究者らが、抗凝固療法施行中のAF患者を対象として、vWFおよびDダイマーの予後予測因子としての有用性を調べた。

 対象は、6カ月以上抗凝固療法を行いPT-INR(プロトロンビン時間国際標準比)が2.0~3.0で安定している、永続性または発作性のAF患者829例(50%が男性、年齢中央値は76歳)とした。

 ベースライン時に、脳卒中リスクの層化方法としてCHADS2スコア(うっ血性心不全、高血圧、75歳以上、糖尿病が各1点、脳卒中または一過性脳虚血発作の既往が2点)およびCHA2DS2-VAScスコア(うっ血性心不全、高血圧、75歳以上、糖尿病、脳卒中、血管疾患、65~74歳、性別)を算出した。また、出血リスクの層化のためHAS-BLEDスコア(高血圧、腎・肝機能異常、脳卒中、出血の既往または素因、不安定なINR、高齢、薬剤・アルコールの併用)も算出した。

 有害な心血管エンドポイント(主に血栓塞栓性)は、脳卒中・一過性脳虚血発作(TIA)、塞栓性・虚血性末梢塞栓症、急性冠症候群、急性心不全、心臓死とした。また、出血イベント、総死亡、心血管死も記録した。

 ベースライン時のCHADS2スコアの中央値は2点(四分位範囲:2~3点)であり、76%の患者のスコアが2点以上だった。CHA2DS2-VAScスコアの中央値は4点(範囲:3~5点)であり、94%の患者のスコアが2点以上だった。HAS-BLEDスコアの中央値は2点(範囲:2~3点)であり、32%の患者のスコアが3点以上だった。

 血漿vWF濃度の中央値は171 IU/dL(範囲:131~230 IU/dL)、血漿Dダイマー濃度の中央値は257 ng/mL(範囲:177~389 ng/mL)だった。

 追跡期間の中央値は828日(範囲:18~1085日)であり、この間95例に有害な心血管イベントが発生した(脳卒中・TIA32件、急性冠症候群36件、急性心不全27件)。69例が死亡し、そのうち心血管死は25例だった。大出血は68件発生した。
 

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