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Circulation誌から
高感度トロポニンTは健常人の心血管リスクも予測
0.014μg/L以上の最高群では25%に心不全が発症

2011/04/21
難波 寛子=医師

 高感度心筋トロポニンTcTnT)の測定では、従来法よりも10倍低濃度のトロポニンTを検出できる。同測定値は心不全(HF)や安定冠動脈疾患(CHD)患者において、将来の心血管イベント発生と関連することが報告されているが、一般集団においてもCHD、HF、総死亡の予測因子となることが分かった。この結果はCirculation誌4月5日号に掲載された。

 今回の研究は、動脈硬化リスクに関する米国の地域コホート研究であるARIC(Atherosclerotic Risk in Communities)の参加者を対象に行われた。

 高感度cTnTの測定には、未発売の高感度アッセイであるロシュ・ダイアグノスティック社のElecsys Troponin Tを用いた。現状で入手可能な、臨床で用いられている高感度測定法の検出下限は0.01μg/Lだが、この測定法の検出下限は0.003μg/Lである。

 検討したアウトカムは、CHDイベント(致死性CHD、心筋梗塞、冠動脈血行再建術)の発生、総死亡、HFのための入院とした。

 高感度cTnT値の分布とパーセンタイル値は、一般集団を反映する目的で、心血管疾患を有する症例も含めて決定した。その他の解析は、心血管疾患を有さない参加者9698例を対象に行った。

 6440症例(66.5%)でcTnTが検出された。ARIC研究参加者全員のcTnTの99パーセンタイル値は0.03μg/Lで、心血管疾患のない症例では0.027μg/Lだった。検出されたcTnT値の範囲は0.003~0.340μg/Lだった。

 cTnT値のカテゴリー分けは、検出されなかった33.5%をグループ1とし、残りの66.5%をほぼ3等分した。cTnT値0.003~0.005μg/Lをグループ2、0.006~0.008μg/Lをグループ3とし、残りの最高レベルをARIC研究参加者の99パーセンタイル値で2分して、0.009~0.013μg/Lをグループ4、0.014μg/L以上をグループ5とした。0.014μg/L以上は715例(7.4%)だった。

 リスク予測に用いたARIC risk score(ACRS)は、年齢、性別、人種、総コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)、収縮期血圧、降圧薬の使用、喫煙状況、糖尿病より構成される。

 男性の83%、女性の55%でcTnTが検出可能だった。そのうち男性の13%、女性の3%が、cTnTが最高のグループ5に属していた。Log変換後のcTnT値はLog変換後のNT-proBNP値と相関していた。cTnTとNT-proBNPが測定感度以下の症例を除外すると、ピアソンの相関係数は、全対象、男性、女性でそれぞれ0.22、0.32、0.25だった(P<0.0001)。
 

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