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N Engl J Med誌から
CABGで左室不全患者の心血管死亡リスクが減少
総死亡では薬物療法群と有意差見られず、STICH試験

2011/04/20
山川 里香=医学記者

 左室駆出率(EF)35%以下の左室機能不全を有する冠動脈疾患患者を対象に、薬物療法単独群と、薬物療法に加えて冠動脈バイパス術CABG)を行う群に無作為に分けて予後を比較したSTICH(Surgical Treatment for Ischemic Heart Failure)試験の結果が4月4日、N Engl J Med誌オンライン版に掲載された。

 主要アウトカムである総死亡に関して両群間に有意差は認められなかったが、2次アウトカムである心血管死亡、および総死亡または心血管疾患による入院は、CABG施行群で有意に少なかった。

 1970年代に行われた3件の臨床試験の結果を受けて、狭心症症状の緩和目的でのCABGを支持する勧告が出されたが、これら試験ではEF 35%未満の患者を除外していた。その後、薬物療法も進歩したため、CABGの有益性については不確定な部分が多くなっている。

 そこで、米国・Duke Clinical Research Instituteの研究者らが国立心肺血液研究所(NHLBI)とアボット・ラボラトリーズ社の資金援助を受け、STICH試験を行った。研究デザインは、多施設、非盲検、無作為化試験。

 対象者の選択基準は、CABG施行の可能性がある18歳以上の冠動脈疾患患者で、EF 35%以下とした。2002年7月24日~07年5月5日に、22カ国99施設で1212例を登録し、薬物療法単独群(602例)または薬物療法+CABG群(610例)に無作為に割り付けた。ベースラインの人口統計学的特性および臨床特性は、2群間で均衡が取れていた。

 薬物療法単独の施行条件は、左冠動脈主幹部に直径50%以上の狭窄病変がなく、かつ薬物療法中にCanadian Cardiovascular Society class III/IVの狭心症がないこととした。

 CABGは、EF 40%以下の患者25人以上における手術死亡率が5%以下の外科医が行った。追跡評価を、退院時、30日目、最初の1年間は4カ月ごと、その後は6カ月ごとに行った。被験者1212例中1207例(99.6%)の最終的な追跡状況を10年8月1日~11月30日に確認した。追跡期間(中央値)は56カ月(四分位範囲:48~68カ月)だった。

 主要アウトカムは、総死亡とした。2次アウトカムは、(1)心血管死亡、(2)総死亡または心血管疾患による入院の複合、とした。

 当初、被験者2000例、平均追跡期間約3年で、CABGによる死亡率25%低下を90%検出できると推定したが、登録が進まなかったため、被験者1200例、平均追跡期間5年に変更した。これで、薬物療法からCABGへのクロスオーバーが20%となっても、検出力に問題はないと著者らは考えた。

 CABG群に割り付けた610例中の555例(91%)がCABGを受けた。CABG実施までの時間(中央値)は10日(四分位範囲:5~16日)だった。
 

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