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N Engl J Med誌から
血行再建後のQOLはPCIよりCABGが良好
1カ月後はPCI有利も6~12カ月後では逆転、SYNTAX試験サブ解析

2011/04/15
難波 寛子=医師

 SYNTAX試験(The Synergy between PCI with Taxus and Cardiac Surgery study)は、重症の冠動脈疾患患者を対象に、薬剤溶出ステントDES)を用いた経皮的冠動脈インターベンションPCI)と冠動脈バイパス術CABG)のアウトカムを比較した大規模ランダム化比較試験である。そのサブ解析として術後のQOLを比較したところ、6カ月および12カ月の時点でCABGの方が症状再発が少なく、QOLが高かった。この結果はN Engl J Med誌3月17日号に掲載された。

 多枝病変を有する症例に対し、バルンによる血管形成術やベアメタルステント(BMS)を用いたPCIとの比較では、CABGの方が術後の症状再発が少なくQOLが高いと報告されてきた。だがDESを用いた場合の結果は、知られていなかった。

 SYNTAX試験の対象は未治療の多枝病変または左主幹部病変の冠動脈疾患を有する未治療の症例で、PCIまたはCABGによる血行再建の適応がある者。対象はPCI群またはCABG群にランダムに割り付けられた。

 直径が1.5mm以上の冠動脈を治療の対象とした。CABGは標準的な術式を用いて行った。PCIには全例にパクリタキセル溶出ステント(Taxus Express、Boston Scientific)を用いた。

 健康状態(症状、機能的制限、QOLを含む)はベースラインとランダム化後1カ月、6カ月および12カ月の時点で、書面による質問表を用いて患者に直接質問した。

 疾患特異的な健康状態の評価はSAQ(Seattle Angina Questionnaire)を用いて行った。SAQは19項目から成り、冠動脈疾患に関連する5つの要素(狭心症の頻度、身体的制限、QOL、狭心症の安定度、治療の満足度)を評価する。スコアは0から100までで、スコアが高いほど症状が少なく健康状態が良好であることを示す。

 全般的な健康状態の評価は、SF-36(Medical Outcomes Study 36-Item Short From Health Survey)とEQ-5D(European Quality of Life-5 Dimensions)を用いた。

 SF-36は健康について8つの要素を評価する。8つの要素とは、身体的機能、身体的理由による日常的役割の制限、身体の痛み、活力、全般的な健康感、社会的機能、精神的理由による日常的役割の制限、精神的健康である。スコアはそれぞれの要素ごとに0から100までとなり、スコアが高いほど健康であることを示す。

 EQ-5Dは移動性、セルフケア、日常動作、痛みまたは不快感、不安または抑うつの5項目を評価する。

 QOL解析の1次エンドポイントはSAQによる狭心症の頻度の評価とした。他のスコアのすべての評価尺度を2次エンドポイントとした。

 2005年3月~2007年4月に、1800例がPCI群(903例)またはCABG群(897例)にランダム化に割り付けられた。患者背景やQOLスコアに関して、両群間に差はなかった。当初、12%の症例がランダム化以前の1カ月間に毎日狭心症を起こしていた。一方、20%は狭心症を起こしていなかった。
 

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