日経メディカルのロゴ画像

Gastroenterology誌から
PPIとクロピドの併用で消化性潰瘍の再発率低下
併用による抗血小板活性の減弱も観察されず

2011/04/11
山川 里香=医学記者

 アテローム性動脈硬化症に罹患しており、消化性潰瘍の既往がある患者に対し、プロトンポンプ阻害薬(PPI)esomeprazoleとクロピドグレルの長期併用療法を行ったところ、クロピドグレル単独療法よりも消化性潰瘍の再発率が低かった。またesomeprazoleは、クロピドグレルの抗血小板活性に影響を及ぼしていなかった。この論文はGastroenterology誌3月号に発表された。

 米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)のガイドラインでは、不安定狭心症または非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)の患者でアスピリンに対して忍容性がない場合は、クロピドグレルを代替薬として推奨している。

 しかし、潰瘍既往者ではクロピドグレル投与により1年以内に12%で潰瘍出血が認められたとの報告もあり、クロピドグレルが潰瘍の治癒を妨げたり、潰瘍形成を助長したりする可能性がある。

 そこで、台湾・Kaohsiung Veterans General Hospitalの研究グループは、消化性潰瘍の既往を有するアテローム性硬化症患者の消化性潰瘍の再発予防について、esomeprazoleとクロピドグレルの併用投与とクロピドグレル単独投与を比較する、6カ月間の前向き・非盲検・ランダム化比較試験を行った。さらに、esomeprazoleがクロピドグレルの抗血小板活性に対して影響を及ぼすかも調査した。

 対象者は直径5mm以上の胃十二指腸潰瘍の既往があり、(1)内視鏡検査で外観正常または紅斑のみ、(2)2週間以上クロピドグレルを服用(75mgまたは37.5mg/日)、(3)虚血性心疾患または脳卒中などのアテローム性疾患に罹患、(4)長期の抗血小板療法が必要、(5)18歳以上――を満たす患者とした。

 除外基準は、(1)穿孔の縫合以外の胃または十二指腸の手術を受けたことがある、(2)試験薬に対するアレルギーがある、(3)非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、ステロイド、アスピリンまたは抗凝固薬による長期治療が必要――などとした。

 2008年1月~2010年1月に適格患者を、esomeprazole 20mg/日(朝食30分前)+クロピドグレル75 mg/日(就寝時)またはクロピドグレル75mg(就寝時)のいずれかにランダム化した。抗凝固薬、Cox2阻害薬、従来型NSAIDs、市販の鎮痛薬、ステロイド、ミソプロストール(プロスタグランジンE1誘導体)、ヒスタミンH2受容体拮抗薬、スクラルファートの使用は禁止したが、胃酸過多症状に対する制酸薬投与は許可した。

 主要エンドポイントは、6カ月後の試験期間終了時と何らかの症状が見られた時点における内視鏡検査で判定された、直径5㎜以上の胃潰瘍かつ/または十二指腸潰瘍の発生とした。

 2次エンドポイントは、(1)潰瘍出血またはびらん出血、(2)不安定狭心症(20分超持続する安静時狭心症・Canadian Cardiovascular Society Class III以上の新規発症狭心症・心電図上の虚血性変化を伴う狭心症の増悪)、(3)急性心筋梗塞、(4)虚血性脳卒中、(5)心血管死――とした。
 

この記事を読んでいる人におすすめ