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Ann Intern Med誌から
CKD患者130/80mmHg未満の降圧効果は限定的
尿蛋白高値の場合は有益の可能性、システマティックレビュー

2011/04/01
西村 多寿子=東京大学

 慢性腎臓病CKD)患者の至適降圧目標はまだ確立していない。CKD患者に対し、降圧目標を低めに設定した厳格管理群(130/80mmHg未満)と通常管理群(140/90mmHg未満)に分け臨床アウトカムを比較したランダム化試験(RCT)を抽出し、蛋白尿を作用修飾因子(Effect Modifier)としてシステマティックレビューを行ったところ、死亡・腎不全を含む主要アウトカムに有意な差は見られなかった。

 ただし、尿蛋白が300~1000mg/dLを超える患者では、血圧の厳格管理によりアウトカムが改善する可能性が示された。この結果は3月14日、Ann Intern Med誌オンライン版に掲載された。

 米国タフツ大学を中心とする研究チームは、MedlineとCochranデータベースに2001年7月~2011年1月に登録された文献と、KDIGO(Kidney Disease:Improving Global Outcomes)の血圧ガイドライン2004に含まれた関連文献の中から、血液透析非依存の成人CKD患者における降圧目標を比較したRCTと、RCT後の追跡結果が報告された文献を抽出した。ただし、1群の症例数が50例未満または追跡期間1年未満の試験は除外した。

 CKDの定義は、糸球体濾過量(GFR)60mL/分/1.73m2未満、尿アルブミン高値(30mg/dL超、尿中アルブミン/クレアチニン比:0.03g/g超、試験紙による尿検査で陽性)、および尿蛋白高値(300mg/dL超、尿中蛋白/クレアチニン比 0.2g/g超)とした。

 アウトカムは、(1)死亡、(2)腎不全、(3)心血管イベント、(4)腎機能分類上の変化・GFRの変化、(5)降圧目標を達成するために要する降圧薬の数──のうち最低1項目を含むこととした。注目する有害事象は、有害事象による脱落、投薬量の減少または投薬中止、低血圧関連症状とした。

 対象となるRCTの数が少なかったことや、CKDの種類、尿蛋白の測定法、アウトカムの定義の不均質性を考慮し、量的なメタ解析は行わなかった。

 本研究の対象になったのは、3つのRCTからの8件の報告(計2272例)だった。3つのRCTの名称は、MDRD(Modification of Diet in Renal Disease)試験、AASK(African American Study of Kidney Disease and Hypertension)試験、REIN-2(Ramipril Efficacy in Nephropathy 2)試験だった。いずれの試験もベースラインの尿蛋白レベルで分けたサブグループ解析を行っていた。
 

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