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Diabetologia誌から
日本人の顕性蛋白尿への移行は低率
血糖と血圧の厳格コントロールが重要に、JDCSの解析

 日本人2型糖尿病を対象とする大規模臨床研究であるJDCS(the Japan Diabetes Complications Study)で糖尿病腎症の発症について検討したところ、尿蛋白陰性または低濃度微量アルブミン尿を示す早期段階の被験者では、血糖値および血圧値を厳格にコントロールすることで顕性蛋白尿への移行は低率に抑えられることが分かった。

 被験者全体での顕性蛋白尿への移行率は1年当たり0.67%で、これまで報告されている各国のデータのなかでも低率だった。埼玉医大の片山茂裕氏らによる検討結果で、Diabetologia誌オンライン版に2月1日、早期公開された。

 JDCSは日本人2型糖尿病について、人種差を考慮した病像および予後を解明するために1996年から継続中の大規模前向き研究であり、主としてライフスタイル改善の効果を調査している。

 これまでの主な結果として、ライフスタイルの厳格な改善によって脳卒中の発生率が38%低下したことなどが報告されているが、腎症発症については介入群と対照群との間で有意差は示されていなかった。今回は、血糖値および血圧値のコントロール状況によってグループ分けをして、糖尿病腎症への移行について検討した。

 対象は、糖尿病専門医療機関59施設に通院していた40~70歳の2型糖尿病患者2205例中、登録時に尿中アルブミン・クレアチニン比(UACR)が17.0mg/mmol未満だった1558例。UACR 3.4mg/mmol(30mg)未満を尿蛋白陰性、3.4~17.0mg/mmolを低濃度微量アルブミン尿とした。追跡期間中には1年に2回、UACRを測定した。追跡期間は中央値で7.98年間だった。

 追跡期間中に顕性蛋白尿に移行したのは、被験者全体で74人(0.67%)だった。登録時に低濃度微量アルブミンだった群では、尿蛋白陰性群に比べて顕性蛋白尿への移行率が高く(100人年当たりの年間移行率:1.85% vs. 0.23%)、登録時尿蛋白陰性群に比べた低濃度微量アルブミン群のハザード比(HR)は、8.45だった(P<0.01)。

 血糖のコントロール状況によって比較すると、HbA1cが7~9%および9%以上の群における顕性蛋白尿への移行のHR(対7.0%未満群)は、2.72(P<0.01)および5.81(P<0.01)だった。

 血圧のコントロール状況による比較では、収縮期血圧が120~140mmHgおよび140mmHg以上の群における顕性蛋白尿への移行のHR(対120mmHg未満群)は、2.31(P=0.06)および3.54(P<0.01)だった。

 血糖値、血圧値以外のリスクファクターとしては喫煙があり、非喫煙者に比べた喫煙者の顕性蛋白尿に移行するHRは1.99(P<0.01)だった。
 

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