日経メディカルのロゴ画像

Circulation誌から
圧較差の低い高度ASの予後は中等度と同等
「弁置換術の適応は症状の原因が明らかな症例に限定可能」と著者

2011/03/18
難波 寛子=医師

 大動脈弁狭窄症(AS)の重症度を評価する際、弁口面積からは高度に分類されるものの平均圧較差は高くなく、左室駆出率(EF)も正常である症例は少なくない。

 このような、圧較差は低く弁口面積では高度AS(low-gradient "severe" AS;LGSAS)に分類される症例の予後と増悪率を調べた研究から、圧較差が40mmHg以下のLGSASの予後は中等度ASと同等であることが明らかになった。この結果はCirculation誌3月1日号に掲載された。

 今回の検討は、SEAS(Simvastatin and Ezetimide in Aortic Stenosis)試験の参加者を対象に行った。同試験の参加者は、各施設における心エコーで大動脈弁肥厚があり最大流速が2.5m/秒以上4.0m/秒以下であることが確認された、無症状のAS患者1873症例。

 冠動脈疾患、心不全、臨床的に有意な僧帽弁疾患、顕著な重症大動脈弁閉鎖不全症、リウマチ性弁疾患、人口大動脈弁、腎不全、脂質異常症の治療中または治療適応である症例は除外した。

 弁置換術の適応は、現行ガイドラインの推奨に従って治療担当医が決めた。

 本検討では、ASを次の2種に定義した。(1)LGSAS:弁口面積では高度に分類されるが圧較差では高度とならないもの(弁口面積1.0cm2未満、平均圧較差40mmHg以下)と、(2)両方の基準を満たす中等度AS(弁口面積1.0~1.5cm2、平均圧較差25~40mmHg)である。

 1次エンドポイントは大動脈弁イベントとした。大動脈弁イベントとは、大動脈弁置換術、ASが原因のうっ血性心不全、心血管死と定義した。

 2次エンドポイントは、主要心血管イベントと虚血性イベントとした。

 主要心血管イベントは、心血管死、大動脈弁置換術、ASの増悪が原因のうっ血性心不全、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症による入院、冠動脈バイパス術、経皮的冠動脈インターベンション、非出血性脳卒中の複合エンドポイントとした。

 虚血性イベントとは、心血管死、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症による入院、冠動脈バイパス術、経皮的冠動脈インターベンション、非出血性脳卒中と定義した。最終的に、心血管死の死亡率は別に解析を行った。

 SEAS試験の参加者の中で、EFが55%以上だった1525例(81.4%)が本検討の対象者となった。そのうちLGSASは435例(29%)、中等度ASは184例(12%)だった。
 

この記事を読んでいる人におすすめ