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N Engl J Med誌から
急性非代償性心不全への利尿薬、至適投与法は?
ボーラス投与と持続点滴、低用量と高用量、どちらも同等

2011/03/16
西村 多寿子=東京大学

 急性非代償性心不全の治療戦略として、「12時間ごとのボーラス投与」と「持続点滴」、「低用量」と「高用量」を比較するランダム化比較試験(RCT)を行ったところ、患者による症状の総合評価や腎機能に有意な差は見られなかった。この結果はN Engl J Med誌3月3日号に掲載された。

 ループ利尿薬の静注は急性非代償性心不全の治療に必須だが、投与法や投与量の参考になるような前向き研究のデータはほとんどない。そこでHeart Failure Clinical Research Networkは、米国心肺血液研究所(NHLBI)から資金提供を受け、米国・カナダの26施設でDOSE(Diuretic Optimization Strategies Evaluation)と呼ばれるRCTを実施した。

 対象は、(1)24時間以内に急性非代償性心不全を呈し、(2)少なくとも1つの症状(呼吸困難、起座呼吸、浮腫)と1つの徴候(ラ音、末梢浮腫、腹水、肺うっ血)の存在により心不全と診断され、(3)慢性心不全の既往があり、(4)経口ループ利尿薬(フロセミドの場合、80~240mg)を入院前に最低1カ月間投与されていた患者とした。

 フロセミド以外のループ利尿薬であるtorsemide 20mgあるいはbumetanide 1mgはフロセミド40mgと同等と換算した。サイアザイド系利尿薬を長期間服用している患者も対象に含めることを認めた。

 左室駆出率(EF)については基準を設けなかった。収縮期血圧90mmHg未満、血清クレアチニン(Cr)3.0mg/dL超、治療に血管拡張薬の静注またはジゴキシン以外の強心薬を必要とする患者は対象から除外した。

 2×2の要因デザインを用い、「12時間ごとのボーラス投与」か「持続点滴」、「低用量」か「高用量」に患者を割り当てた。低用量群は、入院前の経口利尿薬1日投与量と同等のフロセミドを1日に静注し、高用量群は2.5倍に当たるフロセミドを静注した。

 二重盲検、二重ダミーのデザインの下、すべての患者はボーラス投与と持続点滴を受け、中身のいずれかはフロセミド、他方は生理食塩水だった。割り付け結果は、治療開始から72時間まで伏せられた。ただし治療担当医は48時間の時点で、症状によって治療を継続するか、50%増量するか(いずれも盲検は継続)、静注を中止しオープンラベルで経口投与に切り替えるかを決定できた。

 ベースライン、72時間、60日後に、血清Cr、シスタチンC、およびN末端プロBNPの検査を行った。

 有効性の主要エンドポイントは、患者による症状の総合評価とし、ビジュアル・アナログ・スケール(VAS)を用い、曲線下面積(AUC)として定量化した。安全性の主要エンドポイントは、ベースラインから72時間の血清Crの変化とした。

 2次エンドポイントは、患者による呼吸困難の自己評価、体重、体液貯留、腎機能および心不全の悪化、治療失敗、バイオマーカーの変化などとした。intention-to-treat解析を行った。
 

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