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Arch Intern Med誌から
CABG後の血清Cr値上昇はCKD発症を予測
5年後のCKD進展や死亡とも関連、米国での術後患者3万例の追跡結果

2011/03/09
難波 寛子=医師

 心臓手術後の急性腎障害は従来一過性のものと考えられてきたが、最近の研究により死亡や末期腎不全(ESRD)との関連が示唆されている。米国退役軍人病院で冠動脈バイパス術CABG)を受けた約3万例を対象としたコホート研究から、術後の血清クレアチニン値上昇の程度は慢性腎臓病CKD)の発生・進展、さらに死亡と関連することが明らかになった。この結果はArch Intern Med誌2月14日号に掲載された。

 本研究では、VASQIP(The Veterans Affairs Surgical Quality Improvement Program)のデータベースから、CABGを受けた全症例を、弁置換の有無にかかわらず同定した。VASQIPは退役軍人病院の周術期ケアの質向上を目的としたプログラムであり、退役軍人病院で心臓手術を受けた全症例の包括的データが記入されている。

 1999年11月1日~2005年9月30日に、44の病院で3万662例がCABGを受けていた。そのうち165例がESRDのため、123例が術前30日以内の緊急透析のため、964例が麻痺のため、22例が年齢不明のため除外された。最終的に2万9388例が対象となった。

 ベースラインの推算糸球体濾過量(eGFR)の計算には、術前30日以内で最も手術日に近い血清クレアチニン値を用いた。

 eGFRが60mL/分/1.73m2以下の場合をCKDとした。さらに、CKD症例はeGFR値により、ステージ3a(45~59mL/分/1.73m2)、ステージ3b(30~44mL/分/1.73m2)、ステージ4・5(29mL/分/1.73m2以下)に分類した。

 術後7日以内に測定された血清クレアチニン値すべてを抽出した。クレアチニン値上昇度は、(最高値/ベースラインの値-1)×100で算出した。その値が、0%以下の場合は「上昇なし」、1~24%は「クラスI」、25~49%はクラスII、50~99%はクラスIII、100%以上はクラスIVとした。

 術後30日から08年9月30日の観察期間終了まで、外来での血清クレアチニン値を抽出した。CKDの進展はベースラインにCKDの認められた6725例で解析を行った。

 死亡のデータは退役軍人の死亡記録から得た。この記録の感度は98.3%、特異度は99.3%である。

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