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Lancet誌から
CRP値の高低はスタチンの有効性に影響せず
血管イベントの高リスク患者2万例を対象に実施したHPS試験から

2011/02/15
岡本 絵理=メディカルライター

 血管イベントリスクが高い成人を対象にスタチンの有効性を検討した大規模ランダム化比較試験(RCT)であるHPSHeart Protection Study)の層別解析から、ベースライン時のC反応性蛋白CRP)値はスタチンの有効性に影響しないことが分かった。この結果はLancet誌2月5日号に掲載された。

 炎症は冠動脈疾患の一因であると考えられており、CRPは代表的炎症マーカーである。炎症が存在するとスタチンの有効性が高いことを示唆する報告が複数あり、なかでもJUPITER試験では、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値が正常だがCRP値が高い健康な成人にスタチンが有効だったとの結果が報告されている。

 そこでHPSの研究者らは、高リスク患者を対象とした大規模RCTであるHPSの層別解析を行い、ベースライン時のCRP値およびLDL-C値によってスタチンの有効性が異なるか調べた。

 HPSでは、1994~97年に英国内の医療機関69施設から40~80歳の男女2万536例を登録した。(1)冠動脈を除く動脈の閉塞性疾患、冠疾患、糖尿病の診断歴がある、(2)65歳以上の男性、(3)高血圧に対し薬物療法を受けている──のいずれかに該当する場合に適格とした。導入期間(プラセボを4週間、シンバスタチン40mg/日を4~6週間投与)後、参加者をシンバスタチン40mgの連日投与(1万269例)またはプラセボ投与(1万267例)のいずれかにランダムに割り付けた。

 今回の検討では、ベースライン時のCRP値により、登録者を6群に層別化した(1.25mg/L未満、1.25~1.99mg/L、2.00~2.99mg/L、3.00~4.99mg/L、5.00~7.99mg/L、8.00mg/L以上)。

 CRPもLDL-Cも低値である場合はスタチンの効果が少ないという仮説を提起している研究があるため、この研究で観察された中央値であるLDL-C値3.86 mmol、CRP値1.6mg/Lを境界値として、登録者をLDL-C低値・CRP低値群、LDL-C低値・CRP高値群、LDL-C高値・CRP低値群、、LDL-C高値・CRP高値群の4群に分類した。

 主要エンドポイントは初回主要血管イベント(主要冠イベント:冠疾患による死亡+非致死的心筋梗塞、脳卒中、血行再建の複合)とし、intention-to-treat解析を行った。

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