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Circulation誌から
クロピドグレル+PPIはMIの予後に関連なし
フランス国内223施設のMI全症例を対象とした観察研究の結果

2011/02/08
難波 寛子=医師

 クロピドグレルの代謝活性化に必要なチトクロームP450CYP)2C19を、プロトンポンプ阻害薬PPI)の多くが阻害するが、その併用がクロピドグレル内服症例の予後に与える影響に関する臨床試験の結果は一定していない。今回発表されたフランスの心筋梗塞MI)レジストリーを用いた観察研究では、PPIの種類やCYP2C19の遺伝子型にかかわらず、MI後の両薬剤の併用は心血管イベントや死亡のリスクに影響しなかった。Circulation誌2月8日号に掲載された。

 今回の研究に用いられたレジストリー、FAST-MI(the French Registry of Acute ST-Elevation and Non-ST-Elevation Myocardial Infarction)には、発症後48時間以内に対象施設のICUに入院し、MIと確定診断された18歳以上の全症例が登録される。医原性のMI患者や、MIの診断が覆された患者、心筋マーカー上昇のない不安定狭心症患者は除外されている。

 FAST-MIには、フランス国内223施設より3670例のMIが登録されていた。そのうち2744例は、MIのエピソードがあった時点でクロピドグレルとPPIの内服歴がなかった。2353例がエピソード後48時間以内にクロピドグレルの内服を開始した。

 クロピドグレル投与症例における、PPIの併用に伴う入院中の死亡・再梗塞・脳卒中についてのオッズ比[OR]は0.90(95%信頼区間[95%CI]: 0.60-1.35)だった。また、PPIの継続投与は1年後の生存に関しても(ハザード比[HR]:0.97、95%CI:0.90-1.08)、1年後のMI・脳卒中・死亡に関しても(HR:0.98、95%CI:0.90-1.08)、独立した予測因子ではなかった。

 生存退院した症例の解析でも、PPI併用に伴うリスクの上昇は認められなかった(1年後の死亡についてHR:0.97、95%CI: 0.67-1.41、P=0.89。1年後のMI・脳卒中・死亡についてHR :1.06、95%CI:0.78-1.43、P=0.70)。

 PPIの種類によるイベント発生率の差は入院中も1年後も見られなかったが、1年のイベント発生につきpantoprazoleでやや数字が高かった。



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