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Circ J誌から
ARBとスタチンの併用が心不全症状を改善
国内の慢性心不全患者を対象としたHF-COSTAR試験で明らかに

2011/02/07
大滝 隆行

 慢性心不全に対するアンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)とHMG-CoA還元酵素阻害薬スタチン)の併用効果をランダム化比較試験(RCT)で検討したところ、両者の併用療法はARB単独投与に比べて、心不全症状と左室機能を有意に改善させることが分かった。この結果は1月14日、Circ J誌オンライン版に早期公開された。

 これまでの臨床試験のサブ解析などから、スタチンはコレステロール低下作用以外の作用(プレイオトロピック効果)により、慢性心不全患者の生命予後を改善することが報告されている。しかし、既に慢性心不全に対する効果が認められているARBとの併用効果については分かっていない。

 そこで、東京医科歯科大学の磯部光章氏や秋田大学の伊藤宏氏らの研究グループは、慢性心不全患者を対象に、ARBとスタチンの併用療法とARB単独療法の効果を比較する前向き多施設RCT、「HF-COSTAR(The Heart Failure by Coadministration of Statin and Angiotensin-II Receptor Blocker)」を実施した。

 対象は20歳以上80歳未満で、NYHA心機能分類 I~III度の心不全症状を有し、左室駆出率40%未満の慢性心不全患者32例。心臓再同期療法や大動脈内バルンパンピングなどの補助循環装置を必要とする重症心不全患者、急性冠症候群や脳卒中、慢性肺疾患、肝不全、慢性腎臓病、末梢血管疾患、低血圧などを有する患者は除外した。

 対象者のすべてにARB(ロサルタン、LOS)を6カ月間投与し、症状を安定させた後、(1)LOSのみを投与する群(LOS群)と(2)LOSにスタチン(シンバスタチン、SIM)を加える群(LOS+SIM群)にランダムに割り付けた。その後、6カ月間の経過を観察した。

 LOS投与はすべての対象において1日25mgから開始し、6カ月後の割り付け時点でLOS群の患者は1日50mgに増量し、LOS+SIM群の患者はSIMを1日5mg加えた。すべての対象者は、LOS以外のARBと、SIM以外のスタチンは服用していなかったが、β遮断薬、ループ系利尿薬、スピロノラクトン、アミオダロン、ジゴキシン、Ca拮抗薬、アスピリンなどを併用していた。

 平均年齢は、LOS群が63.6±3歳、LOS+SIM群が60.9±2.4歳で、男性がそれぞれ81%、88%を占めていた。心不全の原因疾患として、拡張型心筋症が最も多く(LOS群:80% vs. LOS+SIM群:73%)、次いで虚血性心筋症(6% vs. 19%)、その他(19% vs. 13%)だった。

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