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Arch Surg誌から
ワルファリン使用者は外傷後の死亡率が高い
「エビデンスが乏しい場合は使用を中止すべき」と著者

2011/01/25
山川 里香=医学記者

 米国とプエルトリコの400超の外傷センターを受診した123万例のレジストリーデータをレトロスペクティブに解析したところ、ワルファリン使用者では、外傷後の死亡率が非使用者に比べて有意に高いことが分かった。65歳以下の重症頭蓋内出血に限ると、死亡率は50%上昇していた。この結果は1月17日、Arch Surg誌オンライン版に掲載された。

 外傷患者におけるワルファリン使用率と、ワルファリン使用が死亡に及ぼす影響について検証した大規模多施設試験は、これまで行われていない。小規模レトロスペクティブ研究では、結果の一致を見ていない。

 そこで米国バンダービルト大学の研究者らは、2002~07年に各外傷センターからNational Trauma DatabankNTDB)に提出されたレジストリーデータを利用して、レトロスペクティブコホート研究を行った。このレジストリーは米国外科学会(American College of Surgeons)によって運営されており、医学界と政策立案者への情報提供を目的としている。

 対象は、試験期間中に適格施設に入院した全患者とした。ただし、併存疾患コードを提出していない外傷センターと、16歳未満の患者を除外した。

 主要アウトカムは、対象外傷患者におけるワルファリン使用率と院内総死亡率とした。2次アウトカムは、負傷機序、重症度とパターン、入院期間、ICU在室期間、負傷特異的死亡などとした。

 ワルファリン使用者の割合は、対象患者123万422例中、全年齢(16歳以上)では3万6270例(3%)、65歳超では2万6841例(9%)だった。全年齢でのワルファリン使用者の割合は、02年の2.3%から06年の4.0%に上昇し、65歳超では02年の7.3%から06年の12.8%に上昇していた(P<0.001)。

 死亡率はワルファリン使用者(全年齢)で9.3%だったのに対し、非使用者では4.8%にすぎなかった(オッズ比[OR]:2.02、95%信頼区間[95%CI]:1.95-2.10、P<0.001)。調整後は、全年齢でも(OR:1.72、95%CI:1.63-1.81、P<0.001)、65歳超でも、ワルファリン使用と死亡は関連していた(OR:1.38、95%CI:1.30-1.47、P<0.001)。

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