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JAMA誌から
カンデサルタンはロサルタンより心不全予後を改善
スウェーデンの心不全症例データベースからの解析結果

2011/01/20
難波 寛子=医師

 アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)は、左室駆出率(LVEF)が低下した心不全患者の心臓死と心不全による入院を減少させる。同じARBでも薬剤によりAT1受容体への親和性が異なるため、臨床的な効果にも差があると予測されるが、心不全患者を対象とした個々の薬剤の比較研究は行われていなかった。

 スウェーデンの心不全症例のデータベース(Swedish Heart Failure RegistryRiksSvikt)を用い、カンデサルタンを投与された患者とロサルタンを投与された患者の予後を比較したところ、LVEF低下を伴う心不全患者の死亡リスクは、ロサルタン群よりもカンデサルタン群で低いことが分かった。この結果はJAMA誌1月12日号に掲載された。

 RiksSviktの登録件数は2009年12月の時点で4万4548件、症例数として3万254症例だった。62の病院と60のクリニックから登録が行われていた。

 3万254例中5823例がARBを内服していた。内訳はカンデサルタン2639例、ロサルタン2500例、バルサルタン357例、その他327例だった。バルサルタンとその他のARBは症例数が少なすぎるため、今回の研究対象から除外した。最終的にカンデサルタン群2639例、ロサルタン群2500例の計5139例が対象となった。

 バイアスを避けるため、データの得られない変数に関してpredictive mean matchingを用いてデータを多重補完した(n=10)。記述統計以外のすべての解析は多重補完されたデータを用いて行った。

 選択バイアスの調整のため、症例ごとのpropensity scoreを算出し、propensity scoreの五分位数を用いて対象を5つに分けた。それぞれの患者背景につきARBの種類をアウトカムとしたロジスティック回帰分析を行った。

 また、薬剤の選択や予後を左右する臨床的に重要な変数により対象の層別化を行った。層別化に用いた項目は、治療開始時期(01~05年 vs. 06~09年)、心不全の継続期間(6カ月未満 vs. 6カ月以上)、年齢(70歳以上 vs. 70歳未満)、NYHA分類(I~II vs. III~IV)、LVEF(40%未満 vs. 40%以上)の5項目である。

 解析対象の平均年齢は74歳(標準偏差[SD]:11)、39%が女性だった。カンデサルタン群の症例は、ロサルタン群よりもLVEFが低い傾向があり、目標とした用量(カンデサルタン32mg/日、ロサルタン50mg/日)に至らない場合が多かったが、その他の項目ではより健康だった。

 propensity scoreで調整後に有意差を認めた患者背景は、ロサルタンの標的用量を150mg/日とした場合のARBの用量のみだった。

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