日経メディカルのロゴ画像

Ann Intern Med誌から
パルミトレイン酸が2型糖尿病発症を抑制
全脂肪乳の摂取と強く関連、発症リスクは3分の1にまで低下

2011/01/14
山川 里香=医学記者

 米国の地域住民コホートを1992年から2006年まで追跡したところ、不飽和脂肪酸の1種であるトランス・パルミトレイン酸(trans-palmitoleic acid)の循環血中濃度が高い人は、2型糖尿病の新規発症リスクが低く、全脂肪乳の摂取量が多いほどその濃度が高まることが分かった。従来の栄養常識を覆すこの結果は、Ann Intern Med誌12月21日号に掲載された。

 パルミトレイン酸は、牛や羊などの反すう動物の胃内バクテリアが産生する脂肪酸で、乳製品や肉類を摂取することで体循環血液中に入る。動物実験では、循環血中パルミトレイン酸がインスリン抵抗性と代謝に対し保護的に作用することが示唆されているが、これまでのヒトでの研究では、内因性パルミトレイン酸の影響を排除できず、結果は一致していなかった。

 そこで今回、米国ハーバード大学の研究者らが行った研究では、外因性であるパルミトレイン酸のトランス異性体(トランス・パルミトレイン酸)を測定することにより、内因性の交絡や修飾を排除した。

 被験者は、米国のCHS(Cardiovascular Health Study)と呼ばれる地域住民コホート研究に参加した3736例で、米国4地域のメディケアの適格者リストから1989~1990年と1992年に無作為に抽出・登録された、施設に入っていない65歳以上の成人だった。

 ベースライン(1992年)から保管されている血液から脂肪酸測定を行った。12時間の絶食後に血液を採取し、-80℃で長期保存した。

 多変量解析の結果、循環血中のトランス・パルミトレイン酸高濃度と最も強く関連していたのは、全脂肪乳の摂取だった(1日1杯当たり、トランス・パルミトレイン酸は0.49標準偏差[SD]分上昇、P<0.001)。週に15杯以上摂取した被験者では、それ未満の者よりもトランス・パルミトレイン酸は0.69SD分高かった。

 次いで関連が強かったのはバター(0.31SD、P<0.001)、2%脂肪乳(0.21SD、P<0.001)、チーズ(0.20SD、P=0.041)、アイスクリーム(0.18SD、P=0.093)だった。

 調整後の多変量解析では、トランス・パルミトレイン酸高濃度は、体重指数(BMI)(全五分位で-1.8%、P=0.058)と腹囲(-1.8%、P=0.009)の若干の低下に関連していた。さらに肥満で調整したところ、やや高いHDLコレステロール(HDL-C)値(1.9%、P=0.043)、大幅に低い中性脂肪値(-19.0%、P<0.001)、総コレステロール/HDL-C低値(-4.7%、P<0.001)、CRP低値(-13.8%、P=0.050)、空腹時インスリン低値(-13.3%、P<0.001)、インスリン抵抗性(HOMA-IR)低値(-16.7%、P<0.001)に関連していた。

この記事を読んでいる人におすすめ