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J Am Coll Cardiol誌から
TAVI後の脳塞栓発生率、2つのアプローチ法に差なし
手技後の拡散強調MRIで68%に虚血性病変

2011/01/17
西村 多寿子=東京大学

 経カテーテル大動脈弁置換術TAVI)の前後に拡散強調MRI(DW-MRI)検査を実施したところ、TAVI後の患者の約3分の2に新たな無症候性脳虚血病変が見つかった。だが経心尖部(TA)アプローチ経大腿動脈(TF)アプローチの間で、病変の数、サイズ、位置に有意な差は認められなかった。カナダの2施設で行われた探索的研究の結果は、J Am Coll Cardiol誌2010年12月28日号に掲載された。

 大動脈弓や上行大動脈で大きなサイズのカテーテルを操作するTFの手技と脳塞栓発生の関連性が指摘され、TAではそれが回避できる可能性があるとされてきた。だがDW-MRIを用いて両者を直接比較する研究はこれまでなかった。

 本研究は、ケベック市Heart & Lung Institute(2008年1月~10年2月)とバンクーバー市のSt. Paul’s Hospital(2008年8月~2009年12月)で行われた。

 インターベンション医と心臓外科医からなるチームが、症候性重度大動脈弁狭窄症の診断を受け、手術不能もしくは外科手術によるリスクが高い患者について、TAVIの適応可否を検討した。腸骨・大腿動脈のサイズ、疾患、石灰化の程度によりTFかTAを決定した。ただしMRI禁忌の患者は対象から除外した。

 TAVIには、バルブサイズ23mmまたは26mmのEdwards SAPIEN または SAPIEN XT(Edwards Lifesciences 社)を使用した。手技中の抗凝固療法にはヘパリンを静注し、活性化凝固時間が250秒超になるように用量を調整した。手技後はアスピリンとクロピドグレルを投与した。

 DW-MRI検査は、TAVI施行前24時間以内と施行後6日以内に行った。臨床データを知らされていない神経放射線科医が読影し、新たな限局性病変の数、サイズ、位置(右 vs. 左半球、前方 vs. 後方循環系)を記録した。経食道的心エコーとCTも実施した。

 TAVI前後の神経学的評価にはNational Institutes of Health Stroke Scale (NIHSS) とMini-Mental State Examination (MMSE)を使用した。

 TAVI前24時間以内に脳DW-MRI検査を実施したのは81例で、うち60例は手技から4±1日後に2回目のMRIを実施した。2回目を受けなかった21例の理由は、死亡5例、検査辞退6例、手技後のペースメーカー植え込み6例、血行動態または呼吸状態不安定3例、大動脈弁輪拡張による手技の中断1例だった。これらの症例に臨床的に明らかな脳卒中所見はなかった。
 

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