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J Am Coll Cardiol誌から
血糖・eGFR・NT-proBNPがSTEMIの予後を予測
3つのバイオマーカーの組み合わせによりPCI後の死亡予測能が向上

2011/01/13
難波 寛子=医師

 経皮的冠動脈インターベンションPCI)を受けたST上昇型心筋梗塞STEMI)患者に対して、血糖値eGFR推算糸球体濾過量)、NT-proBNPアミノ末端pro-B型ナトリウム利尿ペプチド)の3種類のバイオマーカーを用いることにより、さらなる介入を必要とするハイリスク患者を特定できることが明らかになった。この結果は、J Am Coll Cardiol誌1月4日号に掲載された。

 対象は、2005年1月1日~07年1月5日にオランダの1施設においてプライマリPCI(PPCI)を受けたSTEMI症例1340例のうち、PPCI前に血液検査結果が得られた1034例。研究期間中に同一症例で複数回のPCIが行われた場合は初回のPCIのみを対象とした。心源性ショックを伴う場合(85例)や、血栓融解療法失敗後のレスキュー目的のPCI施行例(10例)などは除外した。

 PPCIと補助薬物療法はACC(米国心臓学会)/AHA(米国心臓協会)/ESC(欧州心臓学会)ガイドラインに沿って行われた。

 採血は動脈ラインの確保直後に行った。直ちに心筋トロポニンT(cTnT)、CRP、血糖、NT-proBNP、血漿クレアチニンを測定した。

 患者背景とPPCI施行時の記録、血管造影の記録はデータベースから集めた。

 今回の解析の主要アウトカムは、08年11月6日までの総死亡とした。施設のデータより得られた生死の記録はオランダの人口登録と照らし合わせた。

 バイオマーカーの死亡率予測能に関して、Cox比例ハザードモデルを用いて単変量および多変量の解析が行われた。

 単変量解析ではバイオマーカーの評価とカットオフ値の設定を行った。カットオフ値は当初それぞれのマーカーの値の4分割に設定されたが、隣り合う4分割された値域とCoxモデルのP値により有意差がないと判断された場合、それらの値域は結合された。

 多変量解析ではbackward selectionにより選択された5つのバイオマーカー(cTnT、CRP、eGFR、NT-proBNP、血糖)を評価した。最終のモデルでは、ハザード比(HR)に比例して重み付けすることにより簡素化されたスコアを作成した。

 また、TIMIスコアにより確立されたリスク因子を含む多変量解析モデルも併せて検討した。この多変量解析に含まれた因子は、年齢、体重指数(BMI)、糖尿病の既往、高血圧、収縮期血圧、心拍数、前壁心筋梗塞、症状発現から最初のバルーン拡張までの時間だった。

 これらの確立された因子にバイオマーカーを追加することで予測能が有意に向上するかどうか、HarrellのC統計、NR(Inet reclassification improvement)、およびIDI(integrated discrimination improvement)を用いて検討した。
 

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