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Lancet Neurol誌から
TIA反復、脳・頸動脈所見の追加で予後予測向上
TIA後の脳卒中リスク評価の有用性を従来のABCD2スコアと比較

2011/01/11
難波 寛子=医師

 ABCD2スコアは、一過性脳虚血発作TIA)後早期の脳卒中発症リスクの評価法として広く用いられているが、プライマリケアや1次救急でのトリアージ用に作成されたため、頸動脈や脳の画像評価は含まれていない。

 欧米の患者を対象にした多施設共同観察研究で、ABCD2スコアに頸動脈狭窄MRI強調拡散画像DWI)の所見を加えたABCD3Iスコアの有用性を検討したところ、ABCD3IスコアはABCD2スコアよりも正確に脳卒中リスクを評価できることが分かった。この結果はLancet Neurol誌11月号に掲載された。

 著者らは、入院して専門医による治療を受けたTIA患者のDWIを撮像した研究報告を過去に行った欧米の施設に対して、今回の研究で評価法の特性を定めることを目的とした患者群(derivation群)となる症例の登録を呼びかけた。

 対象の条件は、脳卒中専門医により診断されたTIA患者で、TIA発症後7日以内のABCD2スコア、頸動脈所見、心電図、DWIの情報が得られることとした。除外基準は、TIA以外の診断を受けた場合、頸動脈内膜摘除術またはステント留置術後の脳卒中とした。先行するTIAのためではなく脳卒中のために画像診断を受けた症例は、画像を加えたスコアの分析から除外した。

 評価法の妥当性を検証する患者群(validation群)には、英国およびアイルランドで行われたpopulation-based studyの対象者を用いた。validation群となる対象の条件はderivation群と同様であるが、画像診断についてはDWIまたはCTが28日以内に行われていれば対象に含めた。

 指標となるTIA以前7日以内に1回以上TIAが確認された場合、TIAの反復とした。50%以上の狭窄が超音波、CT、MRA、造影のいずれかにより確認された場合、頸動脈の狭窄ありとした。神経放射線科医または脳卒中専門医により急性の脳虚血と確認された高信号域がある場合を、DWI高信号域ありとした。脳卒中の有無は2日後、7日後、28日後、90日後に確認した。

 ABCD2スコアにTIA反復と、頸動脈狭窄、DWI異常を加えて脳卒中の発生との関連を検討した。ABCD2スコアは、年齢(60 歳以上1点)、血圧(140/90mmHg以上1点)、臨床像(片麻痺あり2点、言語障害のみ1点)、症状の持続時間(60分以上2点、10分から59分1点)、糖尿病あり(1点)の計7点である。

 derivation群2654例、validation群1232例の合計3886例が対象となった。
 

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