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J Am Coll Cardiol誌から
シスタチンCはeGFR正常者の長期死亡を予測
米国の一般住民を対象としたNHANES IIIの解析結果

2011/01/07
岡本 絵理=メディカルライター

 推算糸球体濾過量eGFR)が正常範囲内の人を対象として、腎機能マーカーである血清シスタチンCと長期死亡との関連を調べたところ、シスタチンCは長期死亡に対する予測因子であることが分かった。この結果は、J Am Coll Cardiol誌11月30日号に掲載された。

 シスタチンCはシステインプロテアーゼ阻害物質の1種である。シスタチンCの産生は筋量など腎外因子の影響を受けないため、クレアチニンよりも糸球体濾過量GFR)の推算に有用である可能性がある。また、血清シスタチンCは腎機能障害の早期から上昇し、心血管イベントの強力な予測因子であることが近年報告されている。しかし、これまで腎機能正常者における測定意義は不明だった。

 そこで台湾と米国の研究者らは、米国の国民健康栄養調査NHANES III(Third National Health and Nutrition Examination Survey)に参加した人のうち、クレアチニン値に基づくeGFRが正常範囲内だった40歳以上の2990例を対象として、血清シスタチンC値と長期死亡リスクとの関連を調べた。

 eGFRは、MDRD(Modification of Diet in Renal Disease)方程式を用いて算出し、60mL/分/1.73m2以上の場合に正常と定義した。

 対象者を血清シスタチンC値によって十分位し、最高分位を高値群(577例、シスタチンCが1.08mg/L超)、最低分位を低値群(214例、シスタチンCが0.7 mg/L未満)、それ以外を中値群(2199例、シスタチンCが0.7~1.08mg/L)として死亡リスクを解析した。

 多変量Cox回帰モデルを用いて相対死亡リスクを算出した。ROC(receiver-operating characteristic)曲線を用い、シスタチンCが連続変量であるとした場合の弁別力を評価した。(1-感度)2+(1-特異度)2が最小となる点、またはグラフの左上隅からROC曲線までの距離が最短となる点を最適カットオフ値と定義した。

 対象者全体の平均血清シスタチンC値は0.89±0.01mg/L(5~95%範囲:0.66~1.16mg/L)であり、高値群、中値群、低値群の平均血清シスタチンC値はそれぞれ1.19±0.008mg/dL、0.87±0.004mg/dL、0.65±0.005mg/dLだった。

 シスタチンC高値群はより高齢で、男性および高血圧者が多い傾向にあった。また、シスタチンC値が高いほどCRP値が増加する傾向も見られた。シスタチンCは尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)とも直線的ではないが有意に関連していた。


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