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Am J Med誌から
吸入ステロイドは糖尿病の発症・進行と関連
高用量ほどリスク増、カナダ健康保険データベースを用いたコホート研究

2011/01/06
西村 多寿子=東京大学

 呼吸器系薬剤の処方歴のある患者コホートを追跡したところ、吸入ステロイド薬の使用は、糖尿病治療薬の投与開始および糖尿病進行によりインスリン開始に至るリスクを約30%増加させることが明らかになった。吸入ステロイド薬の高用量(1000μg/日以上)使用者におけるリスクはさらに高かった。この結果は、Am J Med誌11月号に掲載された。

 吸入ステロイド薬は喘息の治療に有効な薬剤だが、慢性閉塞性肺疾患COPD)の治療への適応と効果については賛否両論ある。また全身性ステロイド薬は糖尿病のリスク増加と関連していることが知られている一方、吸入ステロイド薬と糖尿病の関係は明らかではない。

 カナダ・McGill大学の研究チームは、ケベック州の住民約700万人が登録する健康保険データベースを使用し、1990~2005年に呼吸器系薬剤を年間3回以上処方された患者を抽出した。

 3回目に処方された日をコホート登録日とし、登録日より前に糖尿病の診断または糖尿病治療薬の処方歴のある患者を除外した上で、糖尿病発症(糖尿病治療薬の初回処方日)または死亡をアウトカムとして、07年12月まで追跡した。

 次に、追跡期間中に経口血糖降下薬を処方された患者からなるサブコホートをつくり、インスリン開始を糖尿病進行の指標とし、経口血糖降下薬の初回処方日から追跡した。ただし、糖尿病治療として最初からインスリンが使われた患者は除外した。

 データベースから、吸入ステロイド薬(ベクロメタゾンブデソニドトリアムシノロンフルチカゾンflunisolide)の処方日と用量の情報を入手した。イベント発生前30日間に処方された吸入ステロイド薬をフルチカゾンに用量換算し、3段階に分類した(高用量:1000μg/日以上、中用量:500~999μg/日、低用量:500μg/日未満)。

 上記のコホートとサブコホートについて、それぞれコホート内症例対照研究を行い、吸入ステロイドの使用および用量が、糖尿病の発症や進行と関連があるかを検討した。




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