NT-proBNP(アミノ末端pro-B型ナトリウム利尿ペプチド)が上昇している心不全入院患者に対して、退院後に患者ごとに目標NT-proBNP値を設定し、従来の臨床指標に加えてNT-proBNP値をモニタリングしながら必要に応じて薬物療法の強化を行ったところ、NT-proBNP群では生存日数の延長、死亡数、再入院率などアウトカムがわずかに良好だったが、いずれも有意差は認められなかった。オランダで実施された前向きランダム化比較試験(RCT)の結果で、J Am Coll Cardiol誌12月14/21日号に掲載された。
NT-proBNPは主に心室筋から産生されるB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)のアミノ末端ペプチドであり、BNP(B-type natriuretic peptide)とともに心不全の予後予測因子として評価が確立している。
今回はNT-proBNPが治療方針決定の指標となるかどうかを検討するために、Maastricht University Medical Center、Erasmus University Medical Centerなどオランダの12施設が共同で実施した。この研究はPRIMA(Can PRo-brain-natriuretic peptide guided therapy of chronic heart failure IMprove heart fAilure morbidity and mortality?)Studyと名付けられた。
対象は症候性の非代償性心不全で入院し、入院時のNP-proBNP値が1700pg/mL以上であり、退院までにNT-proBNP値が10%以上低下した345例。退院時に、NT-proBNPを指標に加えて治療方針を決定する群(NT-proBNP群:171例)と従来の臨床的指標によって治療する群(従来法群:174例)にランダムに割り付けた。目標NT-proBNP値は、退院時あるいは2週間後までの最低値とした。
NT-proBNP値は中央値で、NT-proBNPガイド群では入院時8034pg/mL、退院時2958pg/mL、目標値2492pg/mL、従来法群では入院時8169pg/mL、退院時2932pg/mLだった。平均追跡期間はNT-proBNP群で720日間、従来法群で699日間。NT-proBNP群での1年後の目標値達成率は80%だった。
循環器プレミアム:新着文献
J Am Coll Cardiol誌から
NT-proBNPを指標とした心不全治療に有益性なし
生存日数の延長などをランダム化して比較したPRIMA試験の結果
2011/01/04
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