心血管疾患(CVD)のない成人を対象として、抗うつ薬の使用とCVDリスクとの関連を調べたところ、三環系抗うつ薬(TCA)ではリスクの上昇が見られたが、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)では見られなかった。英国の研究者らが11月30日にEur Heart J誌オンライン版で発表した。
この研究は前向きコホート研究であり、1995年、98年、2003年のスコットランド健康調査(SHS)に登録された35歳以上の成人を対象とした。CVD患者およびデータがそろわなかった者は除外した。
対象者を訪問し、人口統計および生活習慣に関するデータを集め、身長・体重を測定した。また、精神健康調査票(GHQ-12)を用いて心理的苦痛を評価した。別の日に看護師が病歴および使用薬剤に関する情報を集め、血圧を測定した。
抗うつ薬の使用は英国処方集(British National Formulary)に従ってコード化した。入院・死亡に関する患者ベースのデータベースとリンクさせ、対象者を07年12月まで追跡した。
1次エンドポイントは、CVDによる死亡、急性心筋梗塞、冠動脈バイパス手術(CABG)、経皮的冠動脈形成術(PTCA)、脳卒中、心不全の複合とした。
2次エンドポイントとして、冠動脈疾患(CHD)イベント(CHDによる死亡、非致死的心筋梗塞、CABG、PTCA)および原因別死亡率(癌およびCVD)について評価した。
抗うつ薬使用によるCVDリスクはCox比例ハザードモデルを用いて推定した。最終補正モデルでは、年齢、性別、心理的苦痛(GHQ-12が4以上)、精神疾患による持続的入院、社会経済的地位、婚姻状態、身体活動性、喫煙、飲酒、体重指数(BMI)、CVDに対する薬の使用、高血圧(医師の診断があるか、血圧が140/90mmHg以上)を補正因子とした。
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