日経メディカルのロゴ画像

Stroke誌から
TIA後の脳卒中リスク評価、ABCD+画像所見が有用
CTよりもMRI拡散強調画像の方が検出力に優れる

2010/12/10
難波 寛子=医師

 ABCD2スコアは、一過性脳虚血発作TIA)後早期の脳卒中発症のリスク評価に広く用いられている。画像診断による脳梗塞の所見を合わせて考慮することにより、さらに正確なリスク評価が可能になるとされてきたが、明確な結論は得られていなかった。

 北米および欧州各国の12施設から集められた4574症例を対象に、ABCD2スコアに画像診断の所見を合わせて検討した後ろ向き研究が行われた。その結果、MRI拡散強調画像(DWI)上の梗塞の有無を評価項目に加えることで、早期の脳卒中リスクをより正確に評価できることが分かった。この結果はStroke誌9月1日号に掲載された。

 今回の検討では、2010年のStroke誌に掲載されたABCD2スコアに関する総論(Stroke. 2010;41:667-73)に含まれる報告を行った施設に対して、未発表の症例データの登録を依頼した。対象は、WHOの診断基準に従ってTIAと診断された症例で、MRIまたはCTによる画像診断が行われており、少なくとも7日間の経過観察が行われた患者とした。

 また、ABCDスコアと脳卒中リスクおよび画像診断に関する既報の論文の検索を行った。検索は2009年7月11日に、Pubmed、Ovid medline、EMBASE(2000~09年)を用いて行った。さらに、関連する参考文献リスト、主な論文が掲載されている3雑誌の目次ページ、および最新の国際脳卒中学会の抄録集を手作業により検索した。

 収集するデータは、(1)研究方法、(2)脳の画像所見で梗塞が確認されたかどうかおよび画像診断の種類、(3)ABCDスコアのデータ収集法と算出法、(4)結果、すなわち対象数とABCD2スコア別の臨床経過、脳梗塞の有無――とした。

 画像診断上、DWIでは急性期脳梗塞の所見がある場合(症状の責任病変であるかは問わない)、CTでは何らかの梗塞所見がある場合(発症時期を問わない)、それぞれ梗塞所見ありとした。

 梗塞の有無はIスコアとした。梗塞がない場合は0で、ある場合は重み付けに応じて1~3点とした。ABCDスコアはA(年齢:60歳以上1点)、B(血圧:140/90mmHg以上1点)、C(臨床像:片麻痺2点、運動麻痺のない言語障害1点)、D(持続時間:10~59分1点、60分以上2点)、D(糖尿病:1点)で構成され、最大7点となる。

 Stroke誌のレビューには20件の研究が含まれており、そのうち必要なデータを含むのは12件だった。データベースの検索から2297論文、参考文献と学会の抄録集から、さらに5論文を抽出した。

 レビューに含まれる12件は論文検索でもヒットしたが、今回の検討に含めるべき論文は、論文検索では見いだせなかった。このため、本検討はレビューに含まれる12論文の参加施設のデータを用いて行った。

 DWIのみを撮像していたのは5件、CTのみが3件、両方行っていたのが4件だった。1症例でDWIとCT両方が撮影されている場合、DWIのみカウントした。12件の研究から計16のコホート(DWI群9コホート、CT群7コホート)が解析対象となった。15コホートでABCD2スコアが、1コホートでABCDスコアが記録されていた。
 

この記事を読んでいる人におすすめ