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BMJ誌から
80歳超でもtPA投与後のアウトカムは良好
脳内出血リスクにも年齢差なし、「年齢制限は削除すべし」と著者

2010/12/07
山川 里香=医学記者

 アルテプラーゼによる血栓溶解療法tPA)を受けた急性虚血性脳卒中患者の、90日目の機能アウトカムと治療後早期の脳内出血を年齢で層別化して解析したところ、80歳超の患者でもtPA投与後のアウトカムは良好であり、脳内出血リスクの有意な増加も認めなかった。英国グラスゴー大学の研究者らがBMJ誌11月27日号に発表した。

 急性脳卒中の約30%は80歳を過ぎて発症する。しかし、これまでのランダム化比較試験(NINDS、ECASSなど)では登録の上限を80歳までと設定していたため、80歳超のデータが極めて限られていた。そのため欧州では、80歳超の患者へのアルテプラーゼによるtPAは承認されていない。

 臨床現場で超高齢者へのtPA施行を控えるのは、加齢とともに出血リスクが増大して予後不良となり、院内死亡率が上昇することを懸念するためだ。しかし以前のメタ解析では、高齢者では良好なアウトカムは減少するが、症候性脳内出血のリスクは増大しないとの結果が出ており、良好なアウトカムが期待できない理由は主に併存疾患だ、とされている。

 英国では80歳超の人口は1982年から倍増しており、平均余命は他国よりも延長している。容認できないリスクの存在やベネフィットの欠如を立証する、説得力のあるデータがないままに、高齢者に対して効果的な治療を制限するべきではない、と著者らは考えた。

 そこで著者らは、tPA治療を行った患者レジストリーSITS-ISTR(Safe Implementation of Treatment in Stroke-International Stroke Thrombolysis Registry、2002年12月~09年11月)のデータを治療群として、またtPA治療を行っていない患者レジストリーVISTA(Virtual International Stroke Trials Archive、98~07年)のデータを対照群として用い解析した。データ欠如例を除外し、最終的に2万9228例が対象となった。

 1次アウトカムは、修正Rankinスケール(mRS)のスコアで評価した90日目の機能アウトカムとした。

 ベースラインの人口統計学的特性は、データセット全体では治療群の方が有利だったが、80歳超では両群で同等だった。

 ベースラインの重症度にも、両群で差はなかった(NIH脳卒中スケール[NIHSS]:両群とも中央値12、P=0.14)。

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