日経メディカルのロゴ画像

Arch Intern Med誌から
高血圧患者の心不全予防、第1選択薬は利尿薬
高血圧と心血管リスクの高い患者を含むRCTのメタ解析

2010/11/25
西村 多寿子=東京大学

 高血圧患者の心不全予防において降圧薬の種類で差が生じるか否かは、いまだに議論されている。高血圧と心血管リスクが高い患者を含むランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を行ったところ、心不全予防には利尿薬が最も優れ、レニン・アンジオテンシン系抑制薬RA系抑制薬)がこれに続き、Ca拮抗薬β遮断薬の効果は低かった。この結果は11月8日、Arch Intern Med誌オンライン版に発表された。

 イタリア・ローマ大学を中心とする研究グループは、検索語を「antihypertensive drugs」「cardiovascular risk」とし、1997年~2009年に発表されたRCTをPubMedとEMBASEで調査した。

 メタ解析に含む選択基準は、(1)査読のある医学雑誌に掲載されたRCT、(2)65%超の高血圧患者と心血管リスクが高い患者を含む、(3)症例数200例以上、(4)心不全、心血管イベントの発生数の情報を含む──とした。824件の臨床研究の報告のうち26件が対象となった。

 研究の手順は、まず従来型のメタ解析を行い、心不全予防の第1選択薬としての降圧薬の有効性を比較した。次にベイズ推定を用いたネットワーク・メタ解析を行い、降圧薬とプラセボの比較、および降圧薬間の比較を行った。さらに5つのサブグループ(心不全既往患者を除く試験、男性比率優位の試験、女性比率優位の試験、平均年齢67歳未満の試験、同67歳以上の試験)のネットワーク・メタ解析を行った。

 ベイズ推定では、情報がない時点での事前確率から新しく入手された情報によって事後確率が更新される。客観性を欠くとして批判する向きもあるが、当該課題についてのすべてのエビデンスが考慮されることで予測を容易にする利点がある。本研究ではLu and Adesが提唱した階層モデルを用い、事後の中央値と95%信用区間(Credibility Interval:CrI)で結果を表した。

 登録患者数は22万3313例で、このうち18万6378例(83.5%)が高血圧の診断を受け、8554例(3.8%)に心不全が発生した。

 ACE阻害薬の投与は3万3651例(15.1%)、アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)は2万7095例(12.1%)、利尿薬は4万516例(18.1%)、Ca拮抗薬は5万5805例(25%)、β遮断薬は1万4564例(6.5%)、α遮断薬は9067例(4.1%)、プラセボ投与は1万8606例(8.3%)だった。

この記事を読んでいる人におすすめ