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Neurology誌から
抗血小板療法は脳出血後の死亡率を高める
システマティックレビューの結果、不良機能転帰との関連は見られず

2010/11/17
山川 里香=医学記者

 アスピリンなどによる抗血小板療法は出血を促進するため、脳内出血の転帰を悪化させる可能性があるが、これまでの観察研究では一致した見解は得られていない。

 両者の関連を検討した、過去10年間のコホート研究をメタ解析したシステマティックレビューから、事前に抗血小板療法を受けていると脳内出血後の死亡率は上昇するが、不良機能転帰との関連は有意ではないことが明らかになった。この結果はNeurology誌10月12日号に掲載された。

 カナダ・カルガリー大学の研究者らは、2008年2月以前の10年間に行われた研究の中から、事前の抗血小板療法と脳内出血後の死亡に関するコホート研究25件(うち15件は未出版)と、事前の抗血小板療法と脳内出血後の機能転帰に関するコホート研究21件(うち14件は未出版)を対象に、メタ解析とシステマティックレビューを行った。

 対象疾患は自然発症の脳内出血とし、動静脈奇形や血栓溶解療法などによる2次性の脳内出血は除外した。

 各コホートの選択基準は、(1)神経画像検査で原因を立証したもの、(2)標本抽出ではなく、初回脳内出血の連続例を組み入れたもの(選択バイアスを最小化し、より均質な研究デザインを確保するため)、(3)抗血小板療法施行に関するオッズ比(OR)または転帰の確率を報告しているもの、(4)死亡を報告しているもの、(5)一般に受け入れられている有効基準を用いて機能転帰を報告しているもの、(6)統計方法の妥当性の判定に十分な情報を組み入れているもの──とした。

 抗血小板療法が脳内出血の転帰に及ぼす影響に関して、単変量ORと多変量調整後ORを抽出した。場合によっては研究著者に連絡を取り、年齢と以前の障害で調整した多変量解析の結果を要求した。年齢と以前の障害が脳内出血前の抗血小板療法と転帰の関係に交絡を及ぼす可能性があるというエビデンスが存在するためだ。

 ただし、血腫容積、脳室内出血、脳卒中の重症度など、脳内出血関連の特性では調整しないように研究著者に要請した。こうした特性は、脳内出血前の抗血小板療法の影響を受けている可能性があり、また、血腫容積や脳卒中の重症度の測定法が研究ごとにかなり異なっていたためだ。

 DerSimonian and Laird法に従い、変量効果モデルを用いて、ORと95%信頼区間(95%CI)を研究間で統合した。ORのファンネル・プロットを調査し、Egger`s testを行って、出版バイアスや報告バイアスのエビデンスを評価した。

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