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Circulation誌から
退院後の心不全患者のケアは誰がすべきか
心臓専門医とプライマリ・ケア医の協力で死亡リスク減少

2010/11/16
西村 多寿子=東京大学

 救急外来から入院せずに帰宅後、プライマリ・ケア医心臓専門医が協力したケアを受けた心不全患者は、プライマリ・ケア医のみや心臓専門医のみのケアを受けた患者と比べて、死亡や救急再受診のリスクが減少し、循環器系検査心血管系治療薬の投与を受ける機会が多かった。この結果は、Circulation誌11月2日号に掲載された。

 本研究はNational Ambulatory Care Reporting Systemのデータベースを使用し、2004年4月~07年3月に、カナダ・オンタリオ州の救急外来を受診し、入院せずに帰宅した18歳以上の心不全患者を対象とした。期間中の初回受診を起算日とし、1年間追跡した。

 主要アウトカムは死亡とし、複合アウトカムは1年以内の死亡+心不全による入院+救急外来の再受診とした。

 救急外来から帰宅後30日以内にプライマリ・ケア医と心臓専門医が協力したケアを受けた患者(共同ケア群)、プライマリ・ケア医のみ(プライマリ・ケア医群)、心臓専門医のみ(心臓医群)、いずれの医師のケアも受けなかった患者(無受診群)に分類し、プロペンシティ・スコアを用いて、退院後のケアの違いが予後に与える影響を比較した。

 救急外来を受診した患者1万599例の内訳は、共同ケア群1478例、プライマリ・ケア医群6596例、心臓医群535例、無受診群1990例だった。各群の平均年齢は、それぞれ71.7歳、75.2歳、71.3歳、77.3歳だった(P<0.001)。

 共同ケア群は、冠動脈疾患、不整脈、弁疾患がほかの群に比べて多かったが、心疾患以外の合併症については、医師の専門性と関連した群間差は見られなかった、

 プライマリ・ケア医群の1年死亡率(10.4%)と比較して、共同ケア群の死亡率は有意に低く(7.2%、P<0.001)、無受診群は有意に高かった(15.5%、P<0.001)。心臓医群(9.5%)とプライマリ・ケア医群では、有意差がなかった(P=0.526)。

 複合アウトカムについても、プライマリ・ケア医群(22.2%)と比較して、共同ケア群における発生は有意に低く(18.7%、P=0.004)、無受診群は有意に高かった(27.3%、P<0.001)。心臓医群(18.9%)とプライマリ・ケア医群では、有意差がなかった(P=0.077)。

 共同ケア群は、左室機能評価、非侵襲的ストレステスト、心臓カテーテル検査、血行再建術、デバイス移植を受けた患者比率が4群中最も高く、無受診群は最も低かった。

 65歳以上の患者に対する退院後100日間の投薬データによると、共同ケア群はプライマリ・ケア医群よりも、心血管系治療薬の処方率が高かった(ACE阻害薬:58.8% vs. 54.6%、アンジオテンシンII受容体拮抗薬:22.7% vs. 18.1%、β遮断薬:63.4% vs. 48.0%、ループ系利尿薬:84.2% vs. 79.6%、メトラゾン:4.8% vs. 3.4%、スピロノラクトン:19.8% vs. 12.7%)。
 

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