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Circulation誌から
重度ASのLVEF改善、手術よりTAVIの方が優れる
心筋細胞のアポトーシス回避で心機能回復も良好と著者推察

2010/11/10
山川 里香=医学記者

 外科手術がハイリスクまたは禁忌の重度大動脈弁狭窄症(AS)で、左室駆出率(LVEF)が低下している患者に対する経カテーテル大動脈弁留置術TAVI)は、外科的大動脈弁置換術(SAVR)に比べてLVEFの回復が良好で、早期死亡リスクは同等だった。この結果は10月25日、Circulation誌オンライン版に掲載された。

 対象は、2006~08年にSAVRを受けた患者200例(冠動脈バイパス術[CABG]施行例を含む)と、2005~09年に5施設でTAVIを受けた患者83例(先行した経皮的カテーテルインターベンション施行例を含む)で、臨床データと心エコー所見をプロスペクティブに追跡した。

 登録患者の選択基準は、大動脈弁口面積(AVA)≦1cm2、弁口面積係数≦0.6cm2/m2、LVEF≦50%とした。PARTNER試験参加者は除外した。

 SAVR群では、大動脈弁輪拡大術を受ける患者、ほかの弁の手術を同時に行う患者は除外した。人工弁の種類はステント弁142例(71%)、機械弁58例(29%)、サイズは19mm(3%)、21mm(17.5%)、23mm(38.5%)、25mm(31%)、27mm(10%)だった。CABG同時施行は117例(59%)で、グラフト本数は平均2.2±1.2(範囲:1~5)だった。

 TAVI群では、Cribier-EdwardsまたはEdwards SAPIEN (Edwards Lifesciences Inc)を用い、経食道心エコー検査で大動脈弁輪径が16~21mmの場合は23mm(48%)、22~25mmの場合は26mm(52%)の人工弁を選択した。経大腿動脈アプローチは44例(53%)、経心尖部アプローチは39例(47%)だった。

 ベースライン、退院時、1年後(12±3カ月)に、患者283例中161例(SAVR:120例、TAVI:41例)にドプラエコー検査を行い、同一の熟練した技師がデータを解析した。重度人工弁患者ミスマッチは弁口面積係数が0.65cm2/m2以下と定義した。患者71例に低用量(最高用量20μg/kg・分)のドブタミン負荷心エコー検査を行い、心筋の収縮予備能を評価し、狭窄の重症度を確認した。

 ベースライン特性は、TAVI群の方が有意に高齢(81±8 vs. 70±10 歳、P<0.0001)で、併存疾患が多かった。LVEF(34±11 vs. 34±10 %)は両群で同等だった。

 術後30日間の死亡は、SAVR群24例(12%)、TAVI群16例(19%)だった(年齢と傾向スコアで調整後はP=0.99)。

 30日間の死亡の予測因子は、高齢(1年間の増加ごとのオッズ比[OR]:1.05、95%信頼区間[95%CI]:1.01-1.10、P=0.01)、心筋梗塞の既往(OR:2.24、95%CI:1.03-5.31、P=0.04)、開胸心臓手術の既往(OR:2.08、95%CI:1.00-4.39、P=0.05)、僧帽弁閉鎖不全症(OR:1.61、95%CI:1.12-2.34、P=0.01)、logistic EuroSCORE(1ポイント増加ごとのOR:1.04、95%CI:1.02-1.06、P=0.001)、STS score(1ポイント増加ごとのOR:1.08、95%CI:1.02-1.14、P=0.007)だった。
 

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