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N Engl J Med誌から
INR自己測定でワルファリン使用者の予後改善せず
ただし抗凝固療法に対する患者の満足度とQOLは有意に向上(2011.1.20訂正)

2010/11/05
岡本 絵理=メディカルライター

 ワルファリンを用いた抗凝固療法を実施している患者を対象に、週1回INR(プロトロンビン時間の国際標準比)を自己測定する群と、医療施設で月1回INRを測定する群に分け、脳卒中・大出血エピソード・死亡のリスクを比較したところ、両群間に差は見られなかった。この結果はN Engl J Med誌10月21日号に掲載された。

 心房細動患者や人工心臓弁のうち機械弁を植え込んだ患者では、脳卒中のような血栓塞栓合併症のリスクを低下させる目的でワルファリンによる抗凝固療法を実施するが、その管理は困難である。

 そこで米国の研究チームが、INRの自己測定により転帰が改善するかを調査するため、THINRS(The Home INR Study)と呼ばれる研究を実施した。

 THINRSは前向き非盲検化のランダム化比較試験(RCT)であり、2003年8月~2008年5月に退役軍人局の医療施設28カ所で実施した。心房細動または機械弁を植え込み長期間ワルファリン投与が必要な患者中、本人自らまたは介護者の支援によりINRを自己測定し、インターネットによる双方向音声反応システムを利用して、報告できる患者を適格とした。

 3643例にINR自己測定の教習を実施したところ、2922例(80%)が自己測定可能と判断された。次に患者を週1回のINR自己測定(自己測定群、1465例)または医療施設での月1回のINR測定(施設測定群、1457例)にランダムに割り付けた。

 3カ月ごとに追跡調査を実施し、イベント、併用薬、有害事象、INRの変化を確認した。自己測定群では機器が適切に使用されているか確認し、検査用品を補給した。

 1次エンドポイントは主要イベント(脳卒中、大出血エピソード、死亡)の初回発症までの時間とした。2次エンドポイントはINRが目標範囲内である時間、抗凝固療法に対する患者の満足度、患者のQOLとした。

 抗凝固療法に対する満足度はDuke抗凝固療法満足度スケール(DASS)を用いて測定した(スコア範囲は25~225であり、値が低いほど満足度が高い)。QOLはHealth Utilities Index Mark 3を用いて測定した。

 特に断りのない限りITT(intention-to-treat)解析を行い、初回主要イベントまでの時間についてはKaplan-Meier法により生存曲線を推定しlog-rank検定を実施した。

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