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JAMA誌から
CABG周術期の輸血率、施設間で大きな差
輸血率の高さは予後に影響しないが費用面からは是正が必要

2010/10/20
西村 多寿子=東京大学

 米国で冠動脈バイパス術CABG)を施行した約10万例を対象に、周術期における輸血の実施状況を分析したところ、同種赤血球(RBC)をはじめとする輸血用血液製剤の使用には施設間で大きなばらつきが見られた。ただし、施設ごとのRBC輸血率と総死亡の間に有意な関連はなかった。米国デューク大学などのグループが、JAMA誌10月13日号に研究結果を発表した。

 米国で1年間に使用される輸血用RBC1400万単位のうち、心臓手術で使用されるRBCの割合はかなり高い。だが、死亡、リソース消費、QOL悪化などの有害なアウトカムと輸血の関係を明らかにした観察研究は多く、米国胸部外科学会(STS)と心血管麻酔科医協会は、輸血に関するガイドラインを2007年に発表したが、実臨床に反映されているかは不明である。

 本研究は、08年1月から同年12月の間に、STSのAdult Cardiac Surgery Database(ACSD)に成人対象の心臓手術の登録が1カ月に1件以上あった798施設の症例中、CABG周術期の輸血実施情報に不備のない10万2470例を対象とした。

 ACSDは患者情報を統一の定義で入力するデータベースで、1989年に開設された。各施設からの情報登録は任意だが、術前危険因子に関連したデータの完全性は高く、07年に実施されたCABGについては、全体の80%超の手術情報が収集されていた。

 主要アウトカムは、CABG周術期(術中と術後)におけるRBC、新鮮凍結血漿および血小板製剤の使用とし、施設の特性(CABG実施件数、地理的条件、レジデントプログラムの有無)のアウトカムへの寄与を検討した。

 周術期に輸血を受けた患者は、RBC 56.1%(95%信頼区間[95%CI]:55.8-56.4)、新鮮凍結血漿19.3%(95%CI:19.1-19.6)、血小板24.7%(95%CI:24.5-25.0)だった。RBCの輸血を受けた患者(5万7445例)の平均年齢は67歳、男性比率62.7%に対し、RBC輸血を受けなかった患者(4万5025例)の平均年齢は62歳、男性比率87.3%で、両群の患者特性に差が見られた。

 オンポンプCABGを年間100例以上実施した408施設(8万2446例)における輸血の頻度は、RBC 7.8~92.8%、新鮮凍結血漿0~97.5%、血小板0.4~90.4%で、施設間で大きなばらつきがあった。


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