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BMJ誌から
軽度のCKDでも冠動脈疾患リスクは高い
アイスランド住民対象の30年に及ぶ前向きコホート研究の結果

2010/10/12
西村 多寿子=東京大学

 アイスランドの地域住民を30年にわたり追跡した前向きコホート研究から、ベースライン時に心血管疾患はないが軽度でも慢性腎臓病CKD)を有する中高年者は、冠動脈疾患CHD)の発症リスクが高いことが分かった。推算糸球体濾過量eGFR)が低値でもCKDがなければCHDリスクは増加しなかった。この結果は9月30日、BMJ誌オンライン版に掲載された。

 この前向きコホート研究(Rejkyavik study)では、 アイスランド・レイキャビック市とその周辺に在住する1907年から35年に生まれた男女を対象とし、心血管疾患の危険因子を調査した。67年から91年の間に5回の募集期間があり、ベースライン時に問診表、身体計測、心電図検査、採尿、空腹時採血を実施した。

 本調査についてはeGFRと蛋白尿のデータが揃っている者を対象とし、非致死的心筋梗塞、血行再建(CABGまたはPTCA)は2005年末まで、死因別死亡については07年末まで、国の中央レジストリーで追跡した。登録時点で心血管疾患を有する者、腎移植の既往者は解析対象から除外した。CKDの定義は蛋白尿の存在、もしくはeGFRが60mL/分/1.73m2未満とした。

 1次アウトカムは、CHD(非致死的または致死的心筋梗塞、血行再建術)の発生とし、年齢と性別で層別化したCox比例モデルを用いてハザード比を算出した。また、糖尿病や喫煙といった従来の危険因子に加えて、CKDを評価することがCHDのリスク予測を改善するかどうかを検討した。

 対象者1万6958例の平均年齢は53歳(範囲33~81、標準偏差9)、女性比率51%、追跡期間の中央値は24年(四分位範囲:17~31)だった。平均eGFRは79mL/分/1.73 m2、eGFR60%未満は6%、蛋白尿は1.4%だった。

 登録時にCKDを有していたのは1210例(7%)だった(ステージ1[eGFR:90mL/分/1.73m2以上+蛋白尿]: 65例、ステージ2[eGFR:60~89mL/分/1.73m2+蛋白尿]:129例、ステージ3a[eGFR:45~59mL/分/1.73m2]:939例、ステージ3b[eGFR:30~44mL/分/1.73m2]:65例、ステージ4[eGFR:15~29mL分/1.73m2]:12例)。

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