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Lancet誌から
抗血小板薬ticagrelorの効果に遺伝子型影響せず
CYP2C19とABCB1遺伝子型の影響をクロピドグレルと比較

2010/09/30
山川 里香=医学記者

 ticagrelorはP2Y12受容体に直接結合し可逆的に作用する新しい抗血小板薬で、作用発現に代謝活性化を受ける必要がない。チトクロームP450 2C19(CYP2C19)遺伝子とABCB1遺伝子の多型がticagrelorおよびクロピドグレルの有効性・安全性に及ぼす影響について解析したところ、ticagrelorはこれら遺伝子の多型にはほとんど影響を受けなかった。またクロピドグレルではCYP2C19遺伝子多型の影響を認めたが、その程度は今までに報告されていたものよりも軽度だった。8月29日、Lancet誌オンライン版で論文が公開された。

 本検討はPLATO試験のサブ解析として行われた。対象とした2つの遺伝子のうち、CYP2C19はクロピドグレルの代謝活性化に関与する、重要なCYP450のアイソザイムの1つである。他方、ABCB1は主に薬剤の排出を制御するトランスポーターであるp糖蛋白の遺伝子をコードする。そこでこれら遺伝子の多型は、両薬剤の臨床効果に影響を及ぼす可能性があると推定された。

 対象者は、PLATO主試験の急性冠症候群(ACS)患者1万8624例中、遺伝子解析用の血液サンプルを提供した1万285例。ticagrelor群(初回投与量180mg、維持量90mg 1日2回、5137例)、またはクロピドグレル群(初回投与量300~600mg、維持量75mg 1日1回、5148例)にランダムに割り付け、6~12カ月間追跡した。治療期間の中央値は277日だった。

 遺伝子型の判定は、TaqManアッセイを用いて行った。検討対象とした遺伝子アレルは、CYP2C19野生型(*1)、CYP2C19機能欠失型(*2~*8)、CYP2C19機能亢進型(*17)、ABCB1の1塩基置換(3435C→T)とした。

 Cox回帰モデルを用いて、転帰を投与薬剤群間および遺伝子型群間で比較し、共変量(民族、性別、プロトンポンプ阻害薬の使用、アスピリンの用量、喫煙、糖尿病)で調整して、薬剤および遺伝子型の相互関係を解析した。多重比較調整は実施しなかった。イベント初回発生の累積リスクのKaplan-Meier推定値を算出し、プロットした。
 

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