日経メディカルのロゴ画像

Int Heart J誌から
国循での心臓移植は海外と比較して予後良好
過去10年の移植症例を検討、術後合併症少なく生存率も高い

2010/09/07
難波 寛子=医師

 1997年に臓器移植法が施行されたが、臓器提供者の年齢制限やドナーカードへの本人自著の問題のため小児は国内での心臓移植が不可能であり、成人の移植待機時間も非常に長かった。10年7月の改正臓器移植法の施行により、今後は国内での心臓移植手術数が大幅に増加すると予想される。

 10年3月までに国立循環器病センター(NCVC)で行われた心臓移植27例と、国際心肺移植学会ISHLT)登録データとを比較した結果、NCVCでの移植症例は移植後の糖尿病、脂質異常症、腎不全が少なく、生存率も高いことが分かった。移植心冠動脈硬化症(TxCAD)の発生は同等だった。日本国内で行われた心臓移植の臨床経過と予後に関する初の包括的報告が、Int Heart J誌7月号に掲載された。

 NCVC初の心臓移植は99年5月に行われ、以降27例(日本全体69例の39.1%)の移植が10年3月までに行われた。うち1例が除外され、26例が本研究の対象となった。平均観察期間は移植後5.2±2.9年(1.1~10.8年)だった。

 全例が毎月外来受診し、血液生化学検査を受けた。心臓カテーテル検査と内膜生検は移植後1週、2週、7週、3カ月、4.5カ月、6カ月、9カ月、1年、1.5年、その後6カ月~1年ごと、または拒絶が疑われたときに行った。左室カテーテル検査と冠動脈血管内エコー(IVUS)を伴う冠動脈造影は、移植後3~6カ月後に行い、その後毎年行った。

 対象は男性19例、女性7例。心臓移植時の平均年齢は40.3±11.4歳(14.8~61.6歳)だった。体格指数(BMI)の平均は19.5±2.8kg/m2だった。移植が必要となった原疾患は全例、非虚血性心筋症だった。

 平均移植待機時間は899.4±662.2日(28~2748日)だったが、移植時期が早かった前半13例では578.6±554.7日、後半13例では1220.2±620.4日だった。23例が、左室補助人工心臓(LVAD)を使用していた。LVAD使用の平均は移植前801.2±414.5日で、最長1444日だった。

 移植時期別のLVAD使用日数は、前半13例中11例で598.6±401.4日、後半13例中12例で986.9±344.2日だった。移植までの待機時間とLAVD使用時間は、後半の症例で有意に長かった。

 術式は、Lower-Shamway法が1例、両大動脈吻合法が1例、修正両大動脈吻合法(北村法)が24例だった。

 ヒト白血球抗原(HLA)座の一致数は1.4±1.2個だった。全例が移植後平均2.4±1.4日で人口呼吸から離脱した。虚血時間の平均は209.4±23.5分だった。

 09年のISHLT成人心臓移植レポートの登録データと比較して、NCVCの症例は若く、BMIが小さく、移植前のLAVD使用が多く、ドナー心臓の虚血時間が長かった。男女比とHLAの一致度には差がなかった。

この記事を読んでいる人におすすめ