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Hypertension誌から
DPP4阻害薬前投与がACE阻害薬の降圧に影響
低用量のACE阻害薬では降圧が促進、高用量では降圧が抑制

2010/08/20
小塩 尚代=メディカルライター

 ジペプチジルペプチダーゼ4阻害薬DPP4阻害薬)の前投与はACE阻害薬による降圧に影響を与え、低用量のACE阻害薬では降圧が促進され、逆に高用量では降圧が抑制されることが明らかになった。メタボリックシンドローム患者を対象とした小規模試験の結果で、8月2日、Hypertension誌オンライン版に掲載された。

 DPP4阻害薬は最近上市されたばかりの糖尿病治療薬だが、服用者数は近い将来数千万人に達すると予想され、その多くは生涯服用することになるとみられる。

 2型糖尿病患者の多くはメタボリックシンドロームを合併している。こうした患者は通常複数の薬剤を使用しているため、DPP4阻害薬が追加された場合には、既に使用している薬剤との相互作用が懸念される。

 中でもACE阻害薬は、2型糖尿病患者に広く処方されているため、DPP4阻害薬と併用される可能性が高い。また、ACEとDPP4の2酵素が分解する基質は一部重複しているため、これらの酵素の阻害薬同士が相互作用を起こす可能性も高い。

 実際、ACE阻害薬服用者では、DPP4阻害薬が血管浮腫のリスクを高めることが知られている。これはサブスタンスP(血管浮腫のメディエーターと考えられており、通常はACEで分解・不活化されるが、ACE阻害時には主にDPP4で分解される)が、ACEとDPP4の両酵素の阻害下で分解されにくくなるためである。

 DPP4阻害薬とACE阻害薬によるもう1つの相互作用、すなわちACE阻害薬による降圧に対するDPP4阻害薬の影響を、今回米国バーモント大学とバンダービルト大学の研究グループが、前向きの二重盲検ランダム化クロスオーバー試験で検討した。

 対象はメタボリックシンドローム(National Cholesterol Education Programの基準による)患者24例とした。糖尿病患者を対象としなかったのは、ほかの糖尿病治療薬による影響を避けるためだった。患者が使用していた降圧薬は、試験開始3週間前に休薬した。
 
 これらの患者にDPP4阻害薬であるシタグリプチン(100mg/日)またはプラセボを5日間投与し、5日目の朝にACE阻害薬であるエナラプリル0mg、5mg、10mgを単回投与し、その後8時間にわたって血圧・心拍数の測定と採血を実施した。

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