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Lancet Neurol誌から
脳梗塞発症後3~4.5時間のtPA療法が増加
3時間以内が予後良好も、時間枠延長が治療普及につながったと著者

2010/08/11
西村 多寿子=東京大学

 脳梗塞発症後3~4.5時間の患者に対するアルテプラーゼrtPA:遺伝子組み換え組織プラスミノーゲン活性化因子)の有効性と安全性が欧米の観察研究で確認された後、発症後3~4.5時間にrtPAを投与される患者が増加したが、3時間以内に投与した方が症候性脳内出血が少なく、機能的な改善も見られることが明らかになった。この結果は7月26日、Lancet Neurol誌オンライン版に掲載された。

 2008年9月に発表されたECASS III(European Cooperative Acute Stroke Study III)とSITS-ISTR (Safe Implementation of Treatments in Stroke‐International Stroke Thrombolysis Registry)の観察研究において、発症後3~4.5時間の脳梗塞患者に対するrtPA静注療法の有効性と安全性が確認された。

 これらの結果を受けて、欧州脳卒中機構(ESO)と米国心臓協会(AHA)は相次いでガイドラインを変更し、アルテプラーゼが使用可能な時間枠を従来の発症後3時間以内から4.5時間以内に延長した。

 だが、この変更により治療開始が遅れたり、有害イベントが増える懸念もあることから、SITS-ISTRの研究グループは、ECASS IIIとSITS-ISTR発表前後のrtPA療法の実施状況と臨床転帰を比較する観察研究を実施した。

 欧州、アジア、オーストラリアの650施設にて、2002年12月~10年2月の間、脳梗塞発症後4.5時間以内にrtPA療法(アルテプラーゼ0.9mg/kg[最大90mg]の10%をボーラス投与後、残りは60分超で投与)を受けた患者を研究対象とした。

 SITS-ISTRに登録し、European Summary of Product Characteristics の基準を満たした患者(ただし時間枠規定を除く)を、登録時期が08年10月1日より前か後かで分割した。多変量モデルでは、年齢、性別、脂質異常症、心房細動、修正Rankinスケール(mRS)、喫煙、NIHSSスコア、血糖値、拡張期血圧、画像上の梗塞徴候を補正する変数とした。

 対象患者は2万3942例で、そのうち発症後3~4.5時間に治療を受けたのは2376例だった。患者数を四半期ごとに分けた場合、09年の第4四半期に発症後3~4.5時間で治療を受けた患者の割合は22%(1293例中282例)で、2008年第1四半期の7%(1023例中67例)と比べて約3倍に増加した。



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