日経メディカルのロゴ画像

Circ J誌から
STEMIへのtPA先行投与はPCI単独より予後不良
国内でのRCT、tPA投与後にPCIを行った場合は差なし

2010/08/06
大滝 隆行

 日本人のST上昇型急性心筋梗塞STEMI)に対し、経皮的冠動脈インターベンションPCI)バックアップ下で組織プラスミノーゲン活性化因子tPA)を先行投与する群と、直接(primary)PCIを行う群に分け追跡したところ、初回冠動脈造影時の開存率や6カ月後の左室駆出率は前者で高かったが、5年後の主要心血管イベント(MACE)回避率は後者で有意に良好だった。この結果はCirc J誌8月号に掲載された。

 欧米では、STEMIに対するtPAのPCI前先行投与(facilitated PCI)は、primary PCIに比べて院内死亡率や出血性脳卒中の発生率を高めるとの結果が報告されており、推奨されていない。しかし、日本人のSTEMIに対して両者の予後をランダム化比較試験(RCT)で検討した報告はほとんどない。

 今回、岩手医大の伊藤智範氏らの研究グループは、STEMI患者を対象に、PCIバックアップ下のtPA先行投与とprimary PCIの長期予後を比較するRCT、「IMPORTANT (The present Iwate Myocardial infarction Prospective Observation by Randomized Trial for Analysis of usefulness of intravenous t-PA)」を実施した。

 対象は70歳以下で、2000年1月~03年9月に、岩手医大PCIセンターへ90分以内に搬送可能な施設を受診した、発症6時間以内のSTEMI患者101例。心原性ショックや重症心不全患者、4週以内に消化管・尿管・腹膜・脳に出血を起こした患者、出血素因のある患者、頭蓋内や脊髄の手術歴のある患者、重症高血圧患者、再潅流療法の禁忌患者などは除外した。

 対象者を、初回搬送施設でモンテプラーゼ2万7500IU/kgを静注投与する群(tPA先行投与群)と、直接PCIを行う群(primary PCI群)にランダムに割り付けた。tPA先行投与群でtPA投与後開存が得られなかった場合は、主治医の判断でPCIを施行した(facilitated PCI群)。

 主要エンドポイントは、初回冠動脈造影時の閉塞病変の開存率と、退院時および6カ月後の左室駆出率。2次エンドポイントは、5年後のMACE(突然死、心臓死、非致死性心筋梗塞、脳血管事故、心不全による入院、再血行再建術の施行)回避率とした。

 その結果、初回冠動脈造影時に閉塞病変の開存(TIMI 2以上)が得られていた患者の割合は、primary PCI群で17%だったのに対し、tPA先行投与群では69%と有意に高かった(P<0.001)。ただ、最後の冠動脈造影時には両群ともに95.7%で、TIMI 3の開存が得られていた。

 facilitated PCI群とprimary PCI群の間で比較すると、初回冠動脈造影時のTIMI 2以上の開存率に差はなかったが(32%対15%、P=0.12)、初回冠動脈造影時にTIMI-0だった患者は、facilitated PCI群の方がprimary PCI群に比べ有意に少なかった(47%対81%、P=0.006)。



この記事を読んでいる人におすすめ