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Circulation誌から
BNPシグナルペプチドが虚血診断マーカーに
循環血中に存在し、STEMI発症後4~5時間以内に有意な上昇

2010/08/04
西村 多寿子=東京大学

 脳性ナトリウム利尿ペプチドBNP)が生合成される過程で前駆体から開裂するBNPシグナルペプチドBNPsp)が循環血中に存在していることが明らかになり、心筋虚血の診断用バイオマーカーとして利用できる可能性があることが分かった。BNPspの臨床応用までを視野に入れた包括的研究の結果で、Circulation誌7月20日号に掲載された。

 BNPはアミノ酸32個からなる、中央にリング構造を持つ環状ペプチドである(BNP1-32とも表記される)。細胞内では、プレプロホルモンのpreproBNP1-134が小胞体に取り込まれ、シグナルペプチドが外れてプロホルモン(proBNP1-108)となった後、BNP1-32とNT-proBNP1-76(N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド)に分かれて血中に分泌される。近年の研究で、循環血中には、BNP1-32やNT-proBNP1-76のほかに、proBNP1-108やBNP3-32も存在していることが分かっている。

 ニュージーランド・Otago大学の研究グループは、「BNPsp (preproBNPのC末端1から26のアミノ酸配列)から、シグナルペプチダーゼにより17番目から26番目のアミノ酸(BNPsp17-26)が開裂し、それが細胞内に存在しているだけでなく、細胞から放出されて循環血中に存在している」という仮説を立てた。

 この仮説を検証するため、合成ヒトBNPsp(質量分析にて95%超純粋)を入手してBNPsp17-26を認識する特異的抗体を精製し、ラジオイムノアッセイを実施した。さらに、健常者やST上昇型心筋梗塞STEMI)患者から提供された静脈血と移植のため摘出された心臓組織を使用して、BNPsp17-26が心筋虚血や梗塞時のバイオマーカーになり得るかを検討した。

 ラジオイムノアッセイの結果、健常者125例の静脈血血漿中にBNPsp17-26が検出された。平均濃度は14.1±4.7pmol/L(範囲、7~25pmol/L)で、全例に免疫活性が認められた。血漿BNPspと NT-proBNP、性別、体格指数(BMI)との間には有意な関係は見られなかったが、年齢との関係では、BNPspは加齢により減少する傾向が認められた(r=-0.23、P<0.01)。

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