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Ann Intern Med誌から
CKD患者へのEPO製剤投与、目標Hb値は低めに
正常域目指した積極治療により脳卒中や高血圧などのリスクが増加

2010/07/26
小塩 尚代=メディカルライター

 慢性腎臓病(CKD)患者の貧血治療において、ヘモグロビン(Hb)の目標値を高く設定して赤血球造血刺激因子製剤(ESA)による治療を行うと、脳卒中、高血圧悪化、およびシャント血栓のリスクが高くなることが、ランダム化比較試験のメタ解析から明らかになった。この結果はAnn Intern Med誌7月6日号に掲載された。

 今回の解析に先立ち、2007年に発表されたメタ解析(9試験、5143例)は、CKD患者でHb目標値が高い場合(通常120~150g/L)に、低い場合(95~115g/L)と比べて総死亡、高血圧、およびシャント血栓のリスクが上昇することを示していた。

 その後、糖尿病のCKD患者でダルベポエチンをプラセボと比較した大規模試験TREAT(Trial to Reduce Cardiovascular Events with Aranesp Therapy)の結果が発表された。そこでこのTREATを含むこれまでのすべてのランダム化比較試験を対象に、北米・欧州・オセアニアの研究グループがメタ解析を実施した。

 試験の組み入れ基準は、追跡期間3カ月以上のランダム化比較試験で、CKD患者をESAとプラセボ(無治療を含む)に、あるいは異なる用量のESAに割り付けており、Hbの目標値が高い場合と低い場合とを比較していることとした。

 条件を満たす試験を、MEDLINE(1966年1月~2009年11月)、EMBASE(1980年~2009年11月)、およびCochraneデータベース(~2010年3月)から、使用言語を限定せずに検索した。

 その結果、27試験(1万452例)が解析対象となった。初期(1989~98年)の試験は小規模なプラセボ対照試験だったが、その後(1998~2009年)は大規模な実薬対照試験(TREATを除く)へと移行した。ESAとしてはエリスロポエチンαまたはβ、あるいはダルベポエチンが使用されていた。患者の平均年齢は大部分の試験で50~60歳だった。

 Hb目標値は、1998年以前の試験の高値群(=実薬群)では、例外的なものを除き95~120g/L、それ以降の試験では高値群で120~150g/L、低値群で90~120g/Lと、初期の試験の高値群はその後の試験の低値群と同等の目標値だった。

 全試験を合わせた場合、達成されたHbの中央値は高値群で130g/L(四分位範囲[IQR]:120-140g/L)、低値群で101g/L(IQR:92-110g/L)だった。

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