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J Am Soc Nephrol誌から
ジゴキシン使用で血液透析患者の死亡リスク上昇
血清中カリウム濃度とジゴキシン濃度の厳格管理を著書らは推奨

2010/07/20
山川 里香=医学記者

 血液透析患者にジゴキシンを使用すると死亡率が上昇し、特に透析前の血清カリウムK)濃度が低い患者で死亡リスクが高いことが、大規模後ろ向きコホート研究から明らかになった。この結果は7月24日、J Am Soc Nephrol誌オンライン版に掲載された。

 ジゴキシンは心筋細胞膜にあるNa+/K+-ATPaseを阻害することによって、細胞内Na+を増やす。その結果、Na+-Ca2+交換体の活性化を通じてCa2+が増加する。最終的に局所的なCa2+濃度の上昇が直接的に心筋活動電位を延長し、心拍数が減少することで、トロポニンCとの結合が増大して心収縮力を促進する。

 ジゴキシン投与でうっ血性心不全による入院が28%減少し、腎不全を伴わない患者では死亡率に影響がなかったとのDigitalis Investigation Group trialの報告に主に基づき、米食品医薬品局(FDA)は1997年にジゴキシンを心不全と心房細動の治療薬として承認した。

 また、米国腎臓財団のKDOQI(Kidney Disease Outcomes Quality Initiative)も、末期腎不全CVD(cardiovascular disease)ガイドラインにおいて心筋症と心房細動に対する治療にジゴキシンを組み入れた。しかし、血液透析患者におけるジゴキシンの安全性を確認した試験はほとんど行われていない。

 そこで米国・マサチューセッツ総合病院の研究者らは、Fresenius Medical Care North Americaが運営する施設で後ろ向きコホート研究を行い、血液透析を開始したESRD患者の死亡率とジゴキシンの関連性を検討した。

 対象は、2001年1月1日から06年12月31日までに同施設に入院し、長期血液透析が初めての患者。血液透析の最初の90日間にジゴキシンの処方がなかった場合を「非使用者」とし、ジゴキシンが入院経口薬剤治療リストに記載されていた場合と血液透析開始後ジゴキシンを90日以上継続していた場合に「使用者」とした。

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