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CMAJ誌から
糖尿病患者は重症肝障害を来しやすい
カナダの大規模コホート研究、糖尿病標的臓器に肝臓を加えるべきと著者

2010/07/09
難波 寛子=医師

 インスリン抵抗性に関連して非アルコール性肝障害が生じることは知られているが、肝障害糖尿病合併症としての注目度が低く、現行ガイドラインでも肝機能のスクリーニングは推奨されていない。6月21日にCMAJ誌オンライン版で発表された、カナダでの後ろ向きコホート研究の結果、糖尿病患者は非糖尿病患者と比較して重症肝障害のリスクが高いことが明らかになった。

 対象の選択は、カナダ・オンタリオ州の健康保険請求管理データに基づいて行われた。州内の人口は約1200万人であり、全員が一律の健康保険に加入している。この健康保険は本人負担なしで、ほぼすべての健康上の問題をカバーする。

 対象は1994年4月1日~2006年3月31日の期間中、新規に糖尿病と診断された30歳から70歳までの症例。個々の糖尿病症例について、年齢性別と居住地をマッチさせた非糖尿病例を5例ずつ選択して対照とした。指標日前36カ月以内に肝疾患の診断を受けている症例またはアルコール関連疾患の既往がある症例は除外した。

 糖尿病症例は、オンタリオ糖尿病データベースを使って決定した。少なくとも1回の糖尿病による入院歴、または2年以内に2回以上の通院歴がある場合に、糖尿病データベースに登録される。一度登録された症例は、死亡または州外への転居まで登録を解除されない。プライマリケア医のカルテにより検証したところ、この方法の感度は86%、特異度は97%だった。糖尿病が1型か2型かは特定しなかった。

 糖尿病データベースへの登録日を指標日とした。新規診断例に限定するため、指標日以前36カ月間の記録がない症例は、糖尿病群から除外した。当初糖尿病でなかった症例が経過中糖尿病と診断された場合、対照群から除外した。

 1次アウトカムは、肝硬変、肝不全、肝移植の複合とした。2次アウトカムは、肝硬変、肝不全、肝移植をそれぞれ個別に検討した。
 
 交絡要因となり得る共変量は、指標日の時点での年齢・収入・居住地、指標日前36カ月以内の高血圧・脂質異常症・肥満・心血管疾患の診断、指標日前36カ月以内の入院回数、指標日前12カ月以内の外来通院回数とした。

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