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Circulation誌から
胸部下行大動脈瘤破裂の血管内治療、成績良好
ただし合併症減少とデバイス改良が課題、欧米での後ろ向き研究

2010/07/07
西村 多寿子=東京大学

 胸部下行大動脈瘤が破裂し、血管内治療を行った患者を対象とした後ろ向き研究で、周術期および追跡期間中の死亡と死亡予測因子を調べたところ、治療成績はおおむね良好だったが、循環血液量減少性ショックや血胸のある患者は死亡リスクが高いことが明らかになった。この結果はCirculation誌6月29日号に掲載された。

 胸部下行大動脈瘤破裂(ruptured descending thoracic aortic aneurysm : rDTAA)は生命を脅かす疾患であり、死亡率は90%を超えるといわれる。rDTAAに対しては従来、開胸手術による動脈瘤の切除と人工血管による置換が行われてきたが、近年、低侵襲の胸部血管内治療が普及し始めている。だが、rDTAAは10万人当たり5例ともいわれるほど年間発生率が低く、血管内治療による転帰や、転帰に影響する因子はほとんど分かっていない。

 本研究は、2002年1月から2009年7月までの間、米国と欧州の7施設にてrDTAAに対し血管内治療を行った全患者を対象とした。参加施設ではrDTAAで入院した患者に対するプロトコールが確立しており、proximal neck(動脈瘤より中枢側の正常動脈)またはdistal neck(末梢側の正常動脈)が十分でない場合や、動脈径が広すぎて利用可能なステントがない場合は禁忌とした。血管内治療が適さない場合は、開胸手術を実施するか、侵襲的治療は一切行わなかった。

 rDTAAの血管内治療を実施した患者87例の平均年齢は69.8±12歳、男性の比率は69.0%、動脈瘤の平均直径は54.3±20mmだった。入院時に循環血液量減少性ショックのあった患者は21.8%、血行動態が不安定な患者は40.2%だった。contained rupture(縦隔血腫のあるrDTAA)36.8%、血胸は41.4%の患者に見られた。

 87例中74例(85.1%)は破裂から24時間以内に血管内治療を行った。24時間を過ぎてから治療した患者はすべてcontained ruptureを有し、血行動態は安定していた。大腿動脈からアプローチしたのは78例(89.7%)で、使用したステントの平均直径は37.5±3.7mm、ステント長合計は115.6±114mmだった。

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