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Lancet誌から
痛風治療薬が安定狭心症患者の運動耐容能を改善
プラセボ対照クロスオーバー試験で確認、抗虚血作用は抗狭心症薬と同等

2010/06/25
小塩 尚代=メディカルライター

 痛風治療薬アロプリノールに、安定狭心症患者の運動耐容能を改善させる効果があることが、小規模のランダム化プラセボ対照クロスオーバー試験から明らかになった。この結果は6月8日、Lancet誌オンライン版に掲載された。

 過去40年以上にわたり痛風の治療に用いられてきたアロプリノールは、プリン体異化過程の酵素であるキサンチンオキシダーゼを阻害して、尿酸の生成を抑制する。それに加えて、主に実験的な心不全モデルにおいて、1回拍出量当たりの心筋酸素消費を減少させることが示唆されている。アロプリノールのこうした作用が狭心症患者でも認められれば、虚血の治療に役立つと考えられる。

 そこで英国ダンディー大学の研究者らが、同大学の関連病院と地域の2診療所で二重盲検ランダム化プラセボ対照クロスオーバー試験を実施し、高用量のアロプリノールが安定狭心症患者の運動耐容時間を延長するかどうかを検討した。

 対象は18~85歳で、血管造影により冠動脈疾患であることが確認されており、2カ月以上にわたり慢性の安定した労作性狭心症の症状がある患者とした。それに加えてBruce法による運動負荷試験(ETT)において陽性、すなわち14日以内に実施した2回のETTの両方で虚血(安静時心電図[ECG]との比較でSTが1mm以上低下)が認められ、2回のETTにおけるST低下までの時間の差が15%未満である患者を対象とした。

 患者を、アロプリノール(600mg/日まで漸増)またはプラセボにランダムに割り付け、それぞれ6週間経口投与した。その後ウォッシュアウト期間を設けずにクロスオーバーさせて他方の治療を6週間実施した。各治療期間終了時にETTを実施し、試験薬の運動耐容時間に対する効果を調べた。

 それまで使用していた抗狭心症薬は試験期間中も継続した。なお600mg/日という高用量を選択したのは、以前同グループの研究で、血管内皮機能と酸化ストレスの改善が、300mg/日に比べてかなり大きかったためである。

 解析対象は試験を完了した60例とした。例数の根拠は、P<0.05で90%の検出力を得るための必要症例数が、運動中のST低下までの時間の延長を平均50秒と仮定した場合に34例だったことである。しかし参考とした過去の成績にはばらつきがあったため、実際にはそれよりも多めの例数を設定した。最終的に対象となった60例の平均年齢は64.6歳、83%が男性だった。

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